もくじ
社会の国際化が進む現代においては、ビジネスも国内に留まらず海外へと展開していく傾向にあります。製品の輸出入をお考えの方に、ここでは「そもそも海外物流とは?」の基本から、「物流会社の選択」までをご紹介します。
海外物流(国際物流)とは?
海外物流(国際物流とも言います)とは、日本と海外との間で取り引きされる物の流れのことです。輸送手段としては飛行機や船が使われ、国境を越えるため、輸出入とも通関手続きが必要となります。また移動距離が長いため、当然梱包にも充分な配慮がされなければなりません。
国内物流と異なり、多くの業者の手を経て輸送されることになりますので、その分の費用もかかります。ビジネスとして展開するに当たっては、充分な配慮と綿密な計画が必要です。
海外ビジネスをよりスムーズに進めるためには、海外ビジネスに特化したサポートサービスを利用するのもおすすめです。OCiETe(オシエテ)ではビジネス展開に向けてリサーチや、海外企業へのアプローチなど幅広くサポートいたします。
海外物流(国際物流)の業務内容
海外物流(国際物流)の業務内容を各工程に分けて説明していきます。
輸送
日本における輸送手段として、海上輸送と航空輸送があります。海上輸送は船で荷物を運ぶため、時間はかかりますが運べる物の大きさや重さに制限がなく、大量に安く運べるメリットがあります。一方航空輸送は飛行機を使いますので、運べる物の大きさや重量が制限され、運賃もかかりますが早ければ同日、かかっても一週間ぐらいで世界のどこにでも運べるメリットがあります。
通関手続き
外国から貨物を輸入したり、外国へ貨物を輸出しようとするときは、税関に対して輸入または輸出の申告を行い輸入許可、輸出許可を受ける必要があります。輸出申告の手続きは、輸出しようとする貨物の品名並びに数量及び価格その他必要な事項を記載した所定の様式の輸出申告書に、仕入書、その他必要な書類を添付して税関に提出することにより行います。
輸入申告についても、税関の検査が必要とされる貨物については必要な検査を受けた後、関税、内国消費税及び地方消費税を納付する必要がある場合には、これらを納付して、輸入の許可を受けなければなりません。この輸入の許可を受けた貨物は内国貨物となり、いつでも国内に引き取ることが可能となります。これらの手続きは大変複雑なため、 財務大臣の許可を受けた通関業者と呼ばれる代行会社、フォワーダーやクーリエと言った輸送業者に委託するのが一般的です。
国際輸送業者として、重量のかかる貨物の輸送を、梱包から通関手続き、実運送人との交渉、現地での通関、納品までを一貫して行います。少量貨物だと、割高になる傾向があります。
国際宅急便を指します。ほとんどが航空便を輸送手段とします。数10キロ単位の少量貨物向きで、簡易通関で国境を越えられますので、スピーディーに輸送することができます。
梱包
長距離を運ぶのですから、輸出入される物の特性を考慮し、各々に適した梱包が必要となります。航空輸送の場合は重量により運賃が変更しますので、段ボールのカートン等重量が軽くかつしっかりとした梱包材を選ぶ必要がありますが、海上輸送の場合は、重量を気にせずに水漏れ対策や上から積まれても崩れない、荷物を頑強に保護する梱包材を選ぶことが重要です。
なお国際輸送の場合は、梱包明細書、価格明細書、代金請求書を兼ねた「インボイス」を英語で書き、荷物と一緒に送る必要があります。委託するフォワーダー、クーリエのサイト上で書式記入、印刷が可能です。
情報管理
最近では、在庫管理システムや位置情報システムがしっかりと確立していますので、これらを駆使して、貨物が無事に目的地まで輸送されるまでの確認をしていきます。
海外物流(国際物流)の代表的な企業5社
それでは次に、クーリエとしての代表的な5つの国際宅急便サービスについて、ご紹介していきます。
DHL(ドイツ
ドイツ連邦郵便が民営化して買収を重ねたこのDHLは郵便、Express(国際宅配便)、Global Forwarding & Freight(フォワーディング)、Supply Chain(ロジスティクス)、eCommerce Solutionsの4部門に分かれてサービスを展開しています。自社の貨物航空機を用いる事で世界220以上の国・地域において、集荷、通関、フライト、配達といったすべての物流プロセスを一貫して担う事により、高いサービスクオリティを実現しています。常に業界ランクナンバーワンを誇っています。
DHLのメリット
発送スピードの速さ
世界中に最短1~2営業日程度で荷物を発送でき、最短翌営業日に相手に届けることも可能です。
遅延の心配が少ない
航空運送の場合、自社運行の航空機を保有しているため、民間航空機の影響を受けることがありません。そのためコロナウイルス流行時に頻発していたような、民間航空機の減便による運輸の遅れが起こる心配もありません。
DHLのデメリット
軽量でも高額になる場合がある
送る際の箱のサイズで料金が左右されるため、軽くてもかさばる場合送料が高くなる場合がある。
土日祝日は配達をしない
日本企業とは異なり、土日祝日は配達を行いません。配送中に土日祝日が挟まってしまう場合は、その間動きが止まります(国内への発送の場合、通関手続き後、国内配送業者へ引き渡され土日祝日を含め配送されていきます)。
FedEx(アメリカ)
アメリカ合衆国テネシー州メンフィスを拠点にする世界最大規模の総合航空貨物輸送会社です。2016年にオランダ物流大手TNTを買収し、グローバル規模で世界3強の残りの2社であるUPSとDHLに対抗を続けています。独自のシステムFedEx Fulfillment(倉庫保管、在庫管理、配送、梱包)に返品プロセスも統合して、商品の全ての流れを効率的に管理しており、世界最大級の航空貨物取扱量の空港であるメンフィス国際空港を拠点に、220の国と地域でスピーディーな時間指定配送を誇っています。
FedExのメリット
発送スピードの速さ
翌日配送サービスを使用すれば、最短翌営業日に相手に荷物を届けられます。
遅延の心配が少ない
DHLと同様、自社運行の航空機を保有しているため、航空運送の場合に民間航空機の影響を受けることがありません。
FedExのデメリット
毎月一定量発送依頼をする必要がある
管轄地域によって異なるものの、月間10〜30万円ほど発送料金を支払っていないと、契約が打ち切られたり、料金のレートが上がってしまいます。
土日祝日は配達をしない
DHLと同様、日本企業とは異なり、土日祝日は配達を行いません。配送中に土日祝日が挟まってしまう場合は、その間動きが止まります(国内への発送の場合、通関手続き後、国内配送業者へ引き渡され土日祝日を含め配送されていきます)。
UPS(アメリカ)
FedExと並ぶ米国の大手国際宅配便会社。独自のクラウドベースの輸送管理システム (TMS) により、世界最大輸送および流通ネットワークを実現しており、クライアントのインバウンドおよびアウトバウンドの配送管理を徹底しています。また、自社の倉庫管理システム (WMS) とネットワークを連携される事により、常に高い輸送キャパシティーを確保しています。
日本ではヤマト運輸が、UPSの協力会社として連携されています。
UPSのメリット
遅延の心配が少ない
DHL・FedEx同様、自社運行の航空機を保有しているため、航空運送の場合に民間航空機の影響を受けることがありません。
輸入時の料金が安い
海外に発送した際、返品で日本に帰ってくる場合の料金が他社に比べて安価です。
UPSのデメリット
個人事業主での契約が不可
利用時に必須の契約は、法人のみ対象となります。
土日祝日は配達をしない ※オプション追加で土曜のみ配達も可能
DHL・FedEx同様、日本企業とは異なり、土日祝日は配達を行いません。配送中に土日祝日が挟まってしまう場合は、その間動きが止まります(国内への発送の場合、通関手続き後、国内配送業者へ引き渡され土日祝日を含め配送されていきます)。
国際eパケット(日本)
郵便事業株式会社(現日本郵便株式会社)が平成24年4月1日からスタートした郵便サービスです。2キロまでの小型包装物を、比較的リーズナブルな価格で海外へ送る事が出来ます。海外進出を目指してネットショップ(越境EC)を経営するオーナーにとって見逃せない配送法です。配送スピードの目安としては、アジアまで最短4日、ニューヨークまでが最長7日間程度です。
国際eパケットのメリット
契約の必要がない
利用時に契約を交わす必要がなく、1点から気軽に利用することができます。
比較的軽い荷物の場合安価で送れる
超低重量帯と呼ばれる100〜500gの荷物の場合、他社に比べて安価に送ることができます。
国際eパケットのデメリット
遅延や紛失の心配がある
自社航空便がないため、航空運輸の場合遅延や紛失の心配があります。民間航空機が減便する際などは大幅に遅れが生じる場合があるため注意が必要です。
日本通運(日本)
日本の売上高ランキング第1位を誇る国内最大手の総合物流会社です。クライアントのニーズに合わせ、船舶・航空・鉄道・トラックの各種輸送モードを自由に組み合わせることにより、もっとも最適なロジスティクスを実現できることを強みとしています。日本固有の細やかな配慮が行き届いた輸送課題解決サービスNX-SOLUTIONは、他国の輸送会社には見られない日本の会社ならではのサービスです。
NX-SOLUTIONとは、デリケートな荷物を送る際に適切な状態で配送をするサービスです。
- 温度管理をしながら配送する「温度管理輸送サービス」
- 独自開発の防振輸送技術を使用した衝撃・振動を緩和する輸送サービス「LOGIVISION」
- 専用の梱包材を使用し、吊るした状態で輸送する「APPAREXハンガー」
その他、輸送上の細かいオーダーに応えるサービスが揃っています。
まとめ
日本は島国ですので、海外への輸出入にトラックや鉄道といった陸上輸送が使えず、その分梱包等に手間がかかり、しかも割高となるのは避けられない事実だと思います。
海上輸送と航空輸送のメリット、デメリットをよく把握し、輸出入する商品の特性にもっとも適しかつ効率のよい輸送手段を選択して行くことで、ビジネス成功の道が開けて行くことでしょう。
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