もくじ
結婚を機にイタリアに移住。北イタリアのクレモナに住んで20年以上の筆者が、イタリア移住に向けての準備やイタリア移住の良いところ・大変なところについて解説していきます。
イタリア移住の理由
私の場合、結婚することになった相手がたまたまイタリアに住んでいた、ただその理由だけで住み始めました。実は日本にいた頃、イタリアという国にはちっとも興味がなかったのです。母方の叔母がドイツ人と結婚をし、子供たちがドイツ語を喋るという理由でいとこと会話がしたくて高校ではドイツ語を勉強し、また音大の卒論の主題にフランス音楽を選んだ関係で、フランス語も勉強しました。そしてその挙げ句全く勉強をしなかったイタリア語を話す国に今現在住んでいるというのは、なんとも不思議な話です。でもおかげさまでとても居心地がよく、自分に合っている国なんだな、と感じます。
イタリア移住のメリット・デメリット
イタリア移住のメリット・デメリットはどちらもイタリア人とのコミュニケーションで生じるものです。おしゃべりで陽気であるイタリアの雰囲気に順応することができれば快適に生活ができることでしょう。
メリット:自分らしさ・個性を出すことができる
日本に住んでいたままでは、恐らくここまで自分らしさを発揮することはできなかったと思います。日本では個性よりも集団性を重んじますから、周りに気を配って人に合わせて生活することが大切です。ところがここイタリアでは真逆で、仕事でも人とのお付き合いでも、何よりも自分の持つ個性を最大限に活かさないと、前に進んでいけない感じがします。
デメリット:待つ時間が多い
もちろんイタリアならではのストレスもあります。公共機関の信頼度が低いところです。なぜこの国は、物事をシンプルにするのではなくわざわざ複雑化するのだろう、と呆れ返ることも多いです。窓口でも人を待たせて同僚同士のおしゃべりに夢中になるため、ずらっと長蛇の列ができたりもします。おかげさまで待たされることには、随分慣れました。
イタリア人のコミュニケーション方法
イタリア移住すぐに方言が飛び交う環境で「言葉の壁」を感じました。私の場合は、結婚して専業主婦をするためにイタリアに渡った訳ですが、1年経たずに「爆発」。「私はなんのためにこの国にいるのだろう?」と絶望的になりました。
家にいる限りはイタリア語がちっとも上達できないので、町のコンピューター教室に通ったり、大学主催の図書館員養成コースに通ったりしました。思いがあれば、ジェスチャーだけでもある程度の意思疎通はできますが、やはり言葉は大切です。
私が通ったコースでは、わざわざ南部から授業を受けに来ていた人たちも多く、休み時間にはあちこちで方言が飛び交い、ただでさえ標準イタリア語が分からない私にとってはもう何が何だか全く訳がわからず、泣きそうになったりしました。
イタリアでは相手のためにも意思表示は常にわかりやすく
日本人である私たちは、感情を表に出さないように教育されています。また自分の考えを表明することもなるべく控えて、周りとの調和を大切にしようとします。それがイタリアでは仇になります。黙って無表情でいると存在を認めてもらえませんので、とにかく口を開けて「私はこれがしたい、したくない」と明確な意思表示を常に行うことが必要です。
イタリア移住に向けて準備したもの
就学ビザ申請・イタリア語の習得
結婚相手が既にイタリアに住んでおりましたので、新しく住居を探す手間もなく、移住のための準備にはさほど時間を割かずに済みました。現地でイタリア語学学校の入学許可証を出してもらい、その書類を持って日本のイタリア大使館に出向き、就学ビザを申請しました。そのビザを持って、イタリアの自分の住むことになる町の移民警察署に出向き、1年間有効の学生滞在許可証を発行してもらった記憶があります。
なお私の頃は、一週間に一度レッスンを受けるだけの語学学校入学許可証でも就学ビザはおりていましたが、現在は、毎日通学する学校のみが受け入れられているようです。
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学生滞在許可証については、就学中毎年移民警察署に更新に行かなくてはなりませんが、私の場合は途中から結婚相手が労働滞在許可証に切り替わった関係で、労働者の家族という理由での滞在許可証がもらえました。更に滞在してから5年以上経ったということで有効期限のない滞在カードが発行されたので、更新のたびに警察署に出向く必要がなくなり大変助かりました。
困った時は現地の日本人を頼る
実際にイタリア移住を考えている方にお勧めなのは、現地に住む日本人に、お手伝いを頼むこと。イタリアは情報伝達が苦手な国ですので、信用できる日本人に色々教えてもらって手続きすることは、非常に有用だと思います。私も所属する海外在住日本人ネットワーク・ロコタビでは、2719都市に住む日本人登録者が、日本のみなさまの様々なニーズにお応えします。
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イタリア移住の際に「日本から持っていった方がよいもの」
私がイタリアに来た頃は、まだインターネットというものが発達していなかったので、伊和辞書や日本語の書籍など現地では手に入らないものを、数多く日本から持ってきていました。最初の一年はとにかく日本語で書かれた活字が恋しくて恋しくてたまらず、たまに大都市であるミラノに行くと、数日前発行の朝日新聞をホクホクと購入し、帰りの列車で新聞に穴が空く程眺めまくっていたのを覚えています。
言葉が上達した今では、ほとんどイタリア語で用が足りるようになり、すっかり遠い思い出となりました。
最近は、インターネットを通じて日本のテレビ番組まで見ることができる世の中です。ですが、逆に日本を引きずっていたのでは海外に住んでいる意味はありません。なるべくイタリア語だけで生活をする工夫をしてみましょう。
イタリア語を習得するコツ
事前準備をしても最初からは上手くいかない
結婚を前提としたお付き合いだったので、日本にいる頃からイタリア語学学校に通って、主に文法を学びました。イタリアに到着してすぐ、相手の友人たちのおしゃべりに巻き込まれ何か質問されても、声が出ない自分がいました。なんとなく聞かれていることはわかっても、恥ずかしくて返事ができなかったのです。日本人としての私は当時「文法を間違えたら恥ずかしい」「正確に話さないと相手に失礼だ」みたいに、余計な心配ばかりしていました。
恥ずかしい気持ちを置いておき、とにかくたくさん発言してみる
日本人の多くがそんな心配で自分で自分の足を引っ張り、言葉の上達を妨げていると思います。イタリア人は口から生まれた民族です。なので、とにかくなんでもいいから言葉を発し続けることが肝要です。何か伝えたいという熱い思いがあれば、どんなイタリア人でも耳を傾けてくれることでしょう。ぜひ度胸をつけて、いかなるチャンスも逃さずイタリア人とのおしゃべりに励んでください。
イタリアへ移住して感じる変化
イタリアへ移住してから周りに言われる大きな変化はとにかく「おしゃべりになった」ということ。自分ではそれほどと思わないのですが、里帰りのたびに母や妹に呆れ返られます。それでもイタリア人といると、私はまだおとなしい方なんです。
それからこれは、イタリアに限らずどの国でも言えることだと思いますが、日本語の使えない環境で生活していくわけですから、否が応でも度胸がつかざるを得ません。何がなんでも自分のやりたいことを達成しよう、という実行力がついたことに心から感謝しています。そして困っている時には、いつでも手を貸してくれる友人達がいることもありがたいです。日本人と同様、イタリア人も実に情に深い民族です。
まとめ
自分の持っている可能性を最大限に引き出す背中押しをしてくれるのが、この国イタリア。自分らしく人生を生きたい方、イタリア移住はぜひお勧めです。
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