海外コンビニ事情〜コンビニから見る世界の文化とビジネスチャンス〜

24時間365日、食料品をはじめさまざまな商品を購入できるコンビニは今や私たちの生活に欠かせない存在です。現在日本には約57,000店舗ものコンビニエンスストアが存在しています。一方でその数は頭打ちとなってきており、コロナ禍の影響も重なり徐々に店舗数が減少傾向となっています。
一方で海外では24時間営業ではなかったり、日本ほどの品揃えがなかったり、そもそもコンビニが普及していないという国が多くあります。日本と海外のコンビニ事情にはどのような違いがあるのか、各国の様子を見ていきましょう。

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本記事では各国の文化の違いや日系企業の動向について、実体験を交えながら解説していきます。海外出店をご検討中の方もぜひ参考情報としてご覧ください。

「ガソリンスタンドとセットが当たり前」南北アメリカ・オセアニア

国土面積が特に広く、市街地以外は車での移動が主流であるアメリカやオーストラリア。ガソリンスタンドの集客を目的に出店したことが発祥のam/pmのように、今でもガソリンスタンド併設のコンビニが多く見られます。

「まるでファーストフード」アメリカのコンビニ

コンビニ発祥の地、アメリカのコンビニは先述の通りガソリンスタンド併設のものが多いです。日用品を購入するためにコンビニに行くというよりも、何かのついでに立ち寄るため、日本に比べて品揃えが豊富という訳ではありません。一方でセルフのドリンクコーナーやホットドックなどのホットミールコーナーが充実しているのは、アメリカのコンビニならではの特徴になっています。

アメリカのコンビニチェーン(一部抜粋)
  • セブンイレブン
  • am/pm
  • Alimentation Couche-Tard(サークルK)

「物価の高さが身に沁みる」オーストラリアのコンビニ

そもそもの物価が高いオーストラリア。さらにコンビニでの商品価格がスーパーや小売店で購入するよりも高額です。またオーストラリアでは、アルコールの購入はボトルショップと呼ばれる酒量販店に限られているため、日本のように気軽に立ち寄ってお酒を買うということはできません。

オーストラリアのコンビニチェーン(一部抜粋)
  • セブンイレブン
  • City Convenience Store
  • Allied Mart

「日系企業が続々進出」アジア

日本でもお馴染みのコンビニが多く進出するアジアは、品揃え・サービスともに日本と近しいところが多く見受けられるエリアです。その中でも各国の文化の違いが出る、店内設備や販売方法を中心に見ていきましょう。

「街ナカのお食事処」台湾のコンビニ

朝食を含め、外食文化が根強い台湾のコンビニでは、イートインコーナーがついているのが当たり前。コンビニで購入してそのまま食事をとる人も街中で多く見られます。ファミリーマートが多く出店しており、店内の様子やラインナップは日本にとても似ています。また台湾オリジナル商品として、お茶を飲む習慣が盛んな台湾ならではの茶葉入り飲料などが販売されています。

台湾のコンビニチェーン(一部抜粋)
  • セブンイレブン
  • ファミリーマート
  • ハイライフ
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台湾では都市部以外にもコンビニが存在しており、台北中心から距離がある有名な観光地「九份」にもファミリーマートが出店しています。

「1つ買ったら1つ付いてくる」韓国のコンビニ

商品のラインナップや店舗の様子は日本に近い韓国ですが、所々で「1+1」や「2+1」といった表示を見かけます。これは韓国のスーパーでよくある販売方法で、「1+1」は2つ購入するとそのうち1つが無料になる、「2+1」は3つ購入するとそのうち1つ分が無料になることを指します。

韓国のコンビニチェーン(一部抜粋)
  • CU
  • GS25
  • セブンイレブン
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食料品・飲料はスーパーの方がやはり少し安価ではありますが、例えば小さな紙パックのチョコレートドリンクなどが1+1になっていたりと、物によってはお得に購入できる場合もあります。2022年ソウル渡航時、市内では特にCUが多く出店しているように感じました。

「店舗数急増中」ベトナムのコンビニ

食料品や生活必需品を路上の店舗で購入するのが一般的なベトナム。国内の路面市場は8,000箇所以上、依然として広く普及しています。一方で昨今の経済成長の影響も後押しして、衛生面に目を重視する考え方も広まっており、スーパーやコンビニなどを利用する人が増加。併せてスーパー・コンビニの店舗数も年々増えています当初は海外資本の企業の出店が目立ちましたが、近年は国内企業が積極的に投資を行っており国内企業が割合を大きく占めています

ベトナムのコンビニチェーン(一部抜粋)
  • WinMart+
  • Bach Hoa Xanh
  • サークルK
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2022年ホーチミン滞在時は、現地法人の店舗はスーパーが多く、コンビニはサークルKやファミリーマートを見かけることが多かったです。ホットミールが充実している比較的大きな店舗のサークルKには、店先に何台もバイクが停まっており、「ちょっと一人で軽食を」とイートインコーナーを利用者している人が何名もいらっしゃいました。

「黒字化が厳しい」中国のコンビニ

コンビニ上位は国内企業が占めている中国。沿海地域や大都市に出店が集中しています。参入企業も多く、日本企業も多数出店を進めています。品揃えは日本とあまり変わりませんが、オンライン化による影響でアプリによるネット注文・宅配サービスに力を入れていたり、日本では当たり前の公共料金の支払いやチケットサービスなどが利用されづらいという違いがあります。またコンビニ利用者が若者中心という背景から、より多くの売り上げを得るためには賃料や人件費が高い都市部に出店する必要があるため、黒字化が難しいという問題があります。

中国のコンビニチェーン(一部抜粋)
  • 易捷
  • 美宜佳
  • 昆侖好客

「ローカルコンビニが筆頭」インドネシアのコンビニ

日系・外資共にさまざまな企業が進出するアジアの中でも、地元企業がかなりの割合を占めるインドネシア。その背景には外資系企業への規制があります。零細事業者を保護する目的で、外資は店舗面積400平方メートル以下の小売業に原則出資ができず、現地企業とライセンス契約を結んだ上で現地企業が展開するという方法をとらなければいけません。そのため本社の方針に沿った経営を行うことが難しいという問題があります。過去進出した日系企業では、イートインスペースが若者の溜まり場として利用され、単価の高いターゲットを引き込めず採算が合わなかったというケースもあったようです。

インドネシアのコンビニチェーン(一部抜粋)
  • Indomaret
  • Alfamart

「コンビニに馴染みがない」ヨーロッパ・アフリカ・中東

ヨーロッパでは深夜や日曜営業に関する規定がある国も多く、イギリスやドイツ、イタリアのような都市であっても日本のようなコンビニは存在していません。スーパーの小型店舗やコーヒースタンド、個人商店を利用します。

同様にアフリカ・中東もコンビニがある国は限られ、キオスクと呼ばれる食品や生活雑貨が販売されている小型の個人商店がコンビニのような存在となっています。

コンビニがある国が限られるヨーロッパ・アフリカ・中東ですが、スウェーデンはPressbyrån(プレスビーロン)とセブンイレブン、フィンランドはR-kioski、ドバイはセブンイレブン、エジプトはサークルKなど、コンビニが進出・受け入れられている国もあります。

世界に進出する日本でお馴染みのコンビニたち

これまでご紹介してきた国々でも、いくつか名前が出てきた日本のコンビニたち。最後に海外進出を進めている、主要日系4社の動向を見ていきます。

セブンイレブン

セブンイレブンは2020年2月時点、全世界で約71,800店もの出店数を誇っています。元々はアメリカ発祥でしたが、本国のサウスランド社が経営難に陥り、1991年に7-Eleven, Inc.と社名を変更し、日本法人の子会社となりました。そうした背景もあり、北米・オーストラリア・北欧に進出している唯一の日系コンビニチェーンとなっています。近年はアジア圏へ進出を通し店舗数を伸ばしています。

ファミリーマート

ファミリーマートの海外店舗数は、2021年1月時点で8,316店。セブンイレブンに次いで第2位の店舗数となっています。2004年にアメリカに参入するも2015年に撤退。現在はアジアを中心に出店し、国別では2019年5月時点で台湾が3,406店、中国が2,554店、タイが974店、その他の国が456店となっています。

ローソン

1996年に日系コンビニで初めて中国大陸に進出したローソンは、2021年1月時点で海外店舗数は3,586店。ほとんどが中国、その他フィリピンやインドネシア、タイなどに展開しています。また先述の、インドネシアで撤退したセブンイレブンの旧店舗を取得しました。

ミニストップ

急速に海外展開を進めているミニストップは、2020年時点で国内店舗数2,000店に対して海外店舗数は3,322店。中でも韓国の店舗は2,604店となっており、日本国内よりも海外、さらに韓国の店舗数が上回っています。また中国進出では、都市部に注力する上記3社とは違い、地方から攻める戦略をとりながら、現地のニーズに合わせ、購入後すぐその場で食べられる店内調理品の品ぞろえを強化することで、現地での支持を得ています。

まとめ

今回は海外のコンビニ事情についてご紹介してきました。コンビニ文化が浸透しているアジア圏が中心となりましたが、 日本でもお馴染みの企業であっても、国によって品揃えやサービスが少しずつ異なり、現地での収益アップに向けたローカライズ戦略が見えてきました。一方で各国の規制により出店にハードルがある国も多いため、ビジネスを展開する際にはそうした背景を見極めて参入していく必要があります。

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フリーライター。海外へのソロ旅が趣味で、行き先は「できるだけ日本語が目に入らないところ」。よりローカル感が強い環境を好み、各国のスーパーはマストでチェックします。英語上級者ではない自分が各国に行った際の経験も織り交ぜつつ、皆様に役立つ情報をご紹介していきます。