エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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米中対立や台湾情勢など緊張が続いていますが、東南アジアのベトナムは日本企業にとって魅力的な進出先で、今後もベトナムは日本企業にとって重要な存在になるでしょう。中国を取り巻く情勢が不安定になり、日本企業の中国進出が鈍化している今日ではなおさらでしょう。
では、なぜベトナムが日本企業にとって魅力的なのでしょうか。これには多くの背景があるでしょうが、今回は１つに治安面から説明したいと思います。
ベトナムの治安
まず、外務省の海外安全ホームページからの情報によりますと、2021年のベトナム国内の犯罪統計は、犯罪発生件数が41728件、経済犯罪検挙件数が4629件、薬物犯罪検挙件が26193件、被逮捕者数が73897人などとなっていますが、インドネシアやフィリピンなど他のASEAN諸国と比べますと犯罪発生率は低く、現地の治安は基本的にはいいです。殺人や強盗などの凶悪犯罪も多くなく、子供を狙った身代金目的の誘拐事件が時々見られますが、外国人を狙った誘拐事件も近年見られません。
また、インドネシアやフィリピン、タイなどと違ってベトナム国内はイスラム過激派などテロ組織の目立った活動はなく、ベトナムではテロの心配もありません。タイでは最南部３県で分離独立を掲げる武装勢力によるテロが時折発生し、フィリピンやインドネシアでは当局が厳しいテロ対策を敷くものの、イスラム過激派が日常的に活動しており、ベトナムとはテロの潜在的脅威が違います。こういった事情が日本企業の進出を押し進めています。
仮にベトナムの治安が世界的にも悪ければ、ここまで日本企業の積極的な進出はなかったことでしょう。
経済格差による犯罪が増加傾向に
しかし、近年は経済成長に伴って経済格差が拡がっており、それに伴って経済的恩恵を受けられない人々らによる犯罪が増加傾向にあるようです。
また、地方に住む貧困層の都市部流入なども犯罪増加を助長していると言われます。これまでに日本人が遭った被害ケースでは、“スーパーマーケットで買い物をしていた人が、背負っていたバックがナイフで切られ財布や携帯電話が盗まれた”、また、“自宅へ帰る途中バイクに乗った２人組がベトナム語で言いがかりをつけてきて殴られる等の暴力を受けた”など様々なケースが報告されています。
最近でも、ベトナムに住む日本人、ベトナムを旅行する日本人の間でタクシー運賃の過剰請求事案が多く発生し、首都ハノイや最大都市ホーチミンで財布を取られる被害も発生しています。
まとめ
しかし、ベトナムには２万2000人あまりの日本人が在留しており、割合として日本人の被害が多いというわけではありません。
ベトナムで日本人が犯罪に巻き込まれるというリスクはありますが、冒頭でも指摘したように、ASEAN諸国の中でもベトナムの治安は良く、そういった治安の安定が日本企業の進出を押し進めてきたと言っていいでしょう。
今後もこの状況は続く可能性が高いので、日本企業にとってベトナムは貴重な進出先であり続けるでしょう。
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