近年、なぜ経済安全保障が重視されるのか?

近年、なぜ経済安全保障が重視されるのか?

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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かつて世界経済は、国境を越えた効率性と最適化を最優先するグローバリゼーションの恩恵を最大限に享受してきました。最も安い場所で作り、最も効率的なルートで運ぶという自由貿易の論理は、私たちの生活を豊かにし、企業の利益を押し上げてきました。

しかし、近年、この純粋な経済合理性だけでは国家の存立や国民の生活を守れないという危機感が急速に広まっています。それが、いま私たちが「経済安全保障」という言葉を頻繁に耳にするようになった最大の理由です。

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経済安全保障が重視される背景

経済安全保障が重視される背景には、まず第一に国際政治における「地政学」と「経済」の融合があります。冷戦終結後の長い間、経済活動は政治的な対立とは切り離された領域と見なされてきました。

しかし、米中対立の激化に伴い、経済的な相互依存関係を相手国への揺さぶりや圧力の手段として用いる「経済的威圧」が顕在化しました。特定の国に戦略的な物資を依存している場合、その供給を止められることが軍事的な脅威と同等、あるいはそれ以上の打撃を国家に与えるようになったのです。

次に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが、既存のサプライチェーンの脆弱性を白日の下にさらしたことも大きな転換点となりました。効率性を追求した結果、複雑かつ細分化された供給網は、予期せぬ事態に対して驚くほど脆いことが露呈しました。医療用マスクや半導体といった重要な物資が、一部の国や地域に生産を過度に依存していたために、緊急時に調達が滞り、社会全体が機能不全に陥る事態を私たちは経験しました。

この教訓は、コストが多少高くついたとしても、供給網の強靭性を高め、自国や信頼できるパートナー国で生産体制を確保するデリスキング(リスク低減)の重要性を痛感させました。

軍事技術と民生技術の境界が曖昧に

さらに、技術革新のスピードが加速し、軍事技術と民生技術の境界が曖昧になる「デュアルユース(軍民両用)」の問題が深刻化しています。半導体や人工知能、量子技術といった先端技術は、経済成長のエンジンであると同時に、次世代の防衛能力を左右する極めて重要な基盤です。

これらの技術が他国へ流出し、安全保障上の脅威として跳ね返ってくることを防ぐため、輸出管理や投資審査の厳格化が求められています。もはや、技術開発を純粋なビジネスの文脈だけで捉えることは不可能になったと言えるでしょう。

エネルギー資源や重要鉱物をめぐる獲得競争も、経済安全保障の重要性を後押ししています。脱炭素社会への移行が進む中で、リチウムやコバルトといったレアメタルの需要は爆発的に高まっています。

これらの資源の埋蔵や精錬工程が特定の国に偏在している現状は、将来的なエネルギー安全保障の大きな懸念事項です。資源を武器化させないための多角的な調達ルートの確保は、国家の命運を握る課題となっています。

まとめ

このように、経済安全保障が重視される理由は、単なる保護主義への回帰ではありません。それは、自由貿易の利点を認めつつも、国家の自律性を維持し、国民の生命や財産を予測不可能な事態から守るための、新しい時代の生存戦略と言えるでしょう。

私たちは今、効率性一辺倒の時代から、信頼と安全をコストとして支払う、より複雑で戦略的な経済秩序への移行期に立たされています。

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