エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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東京都知事選が７月７日に行われ、現職の小池氏が292万票あまりを獲得して３選を果たしましたが、166万票あまりを獲得して２位となった元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏に注目が集まっています。
石丸氏は無党派層の36％から支持を集め、小池氏（32％）を上回り、10代から20代の４割が石丸氏に投票するなど、若い世代から絶大な支持が広がりました。
若い世代の根強い不満
この背景には、若い世代の既得権益層に対する根強い不満があります。
多くの政治家たちは若い世代が暮らしやすい生活環境、労働環境を作るなどと繰り返し主張していますが、その多くは実行されておらず、若い世代を中心に政治への不満や不信感が強まり、結果として政治への無関心を誘発している状況です。
そのような中、民主党でも自民党でもない、与党でもない野党でもない新しい候補者が変革を主張して現れると、若者たちはそういった候補者が何かを変えてくれるとの期待を持ち、その人に投票する傾向が広がっていきます。それが石丸氏の躍進に繋がったと言えるでしょう。
台湾やイランなど海外の状況は
しかし、これは海外でも同じような状況です。
たとえば、台湾では１月に総統選挙が行われましたが、民進党の頼清徳現総統は40％あまりの得票率を獲得して獲得して勝利しました。しかし、国民党の侯友宜氏の得票率が33％、民衆党の柯文哲氏が26％となり、特に第３の政党となった民衆党は大きく躍進しました。
台湾の政治は長年“民進党か国民党か”の時代でしたが、今回の選挙では民進党でも国民党でもない民衆党が大きく支持を伸ばし、若者の多くが民衆党の候補者に投票しました。
台湾の若者の間でも経済格差や雇用が大きな社会問題となっていて、将来への不満を掲げる若者が多く、既存の政治や政党では何も変わらないとの不満、危機感が広がっています。
また、イランでも７月５日に大統領選挙が行われましたが、改革派のペゼシュキアン氏が1638万票あまり、保守強硬派のジャリリ氏は1353万票あまりを獲得し、ペゼシュキアン氏が勝利しました。
ペゼシュキアン氏はイラン核合意の再建などの公約を実行し、米国による経済制裁の解除を実現し、低迷するイラン経済の立て直しを進める意欲を示しましたが、ペゼシュキアン氏が勝利した背景には、米国による経済制裁で苦しい日常生活を余儀なくされ、イスラム教徒の女性が髪を覆う布「ヒジャブ」の着用を巡るイラン当局による統制強化などに不満を抱く若者たちの支持があると考えられます。
まとめ
こういった既得権益層、既存政党への若者たちの不満は台湾やイランだけでなく、他の国々でも同様です。日本ではこういった不満が激しい抗議デモや衝突、暴動などに発展することはほぼありませんが、海外では日常的に発生します。
海外に進出する日本企業としては、現地のカントリーリスクを考える際、こういった選挙結果に内在する若者たちの不満という潜在的リスクも配慮する必要があるでしょう。
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