日本人の中国駐在を考える

日本人の中国駐在を考える

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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日中関係の行方が懸念される中、中国・江蘇省の蘇州で6月24日午後、日本人親子が中国人の男が刺される事件が発生しました。

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日本人学校のスクールバスで襲撃事件

蘇州にある日本人学校のスクールバスが下校中の児童たちを乗せてバス停に到着した際、児童を迎えに来ていた日本人の母親と一緒にいた子供が見知らぬ中国人男性に突然襲われ、ナイフのようなもので刺されて病院へ搬送されました。

2人は命に別状はないということですが、スクールバスに乗車していた中国人の女性も刺され、重体になっています。ナイフで刺した男は既に現地警察に拘束されて取り調べを受けていますが、動機など具体的なことは明らかになっていません。

今回の事件を受けて蘇州日本人学校は25日を休校とし、北京にある日本大使館は最近中国各地で講演や地下鉄駅など人の集まる場所でナイフによる刺傷事件が相次いでいるとし、外出の際には周囲の状況に注意するよう在中邦人に呼び掛けました。

中国市民の対日意識が悪化する可能性

近年は米中対立や台湾情勢、改正反スパイ法の施行などによって、日本国内でも中国への懸念が広がっていますが、殺人や傷害などの犯罪統計は中国政府から公表されていないものの、中国国内の治安は決して悪いわけではありません。治安という尺度で言えば、インドや東南アジア、中南米などの方が悪いと言えるでしょう。

今回の事件によって、今後日本人を狙う事件が連鎖反応的に起こる可能性は極めて低く、犯人の動機が不明な点もありますが、これは政治性のない事件と解釈するべきでしょう。

しかし、今後の日中関係の行方を地政学的観点から考えると懸念もあります。今日、南シナ海では中国海警局の巡視船とフィリピン船との衝突がエスカレートしていますが、日中が領有権を争う尖閣諸島でも同様のリスクがあります。

最近は機関砲などを搭載する中国海警局の巡視船も見られ、ここで船舶の衝突や乗組員の拘束などが発生すれば、日中間で政治的な緊張が一気に高まり、それによって中国市民の対日意識が悪化し、中国に在留する日本人に厳しい目線が向けられる可能性が常にあります。

まとめ 

中国は日本にとって最大の貿易相手国ですが、尖閣諸島の他にも台湾有事、日中貿易摩擦など両国間の関係を一気に悪化させる潜在的リスクがあり、中国に駐在する上ではどうしてもこういったリスクが付きまといます。

日本企業としてはこういったリスクを現実の問題として認識し、それを踏まえて社員の安全を第一に中国ビジネスを考える必要があります。

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