今話題の経済安全保障とは?

今話題の経済安全保障とは?

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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 近年、テレビや新聞で経済安全保障という言葉をよく耳にしますが、経済安全保障とはどういう意味なのでしょうか。

 それを説明する前に1つ確認しておきたいのが、安全保障という言葉の意味です。安全保障とは、「他国による軍事的な脅威から、自国の領土や領海、領空を守る」ことを意味し、たとえば自衛隊の活動は日本の安全保障を守るための活動です。

一方、経済安全保障とは新しい言葉で、「自国の経済や国民の経済生活などを守るため、食糧や資源、エネルギーなど必需品の安定的な供給を維持する」ことです。

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経済安全保障の具体的なケース

では、経済安全保障の具体的なケースを説明しましょう。

最近の事例としては、まず中国による日本産水産物の全面輸入停止があります。昨年8月、中国は日本産水産物の輸入を全面的にストップしました。今も解除されていません。

これによってホタテ貝やカニなどを中国に輸出してきた水産加工会社などは大きなダメージを被ることになり、売り上げの半分以上を中国向けの輸出に依存してきた会社などからは悲鳴の声が上がりました。

そして、政府や水産業界はこれに対応するため、日本国内での消費を促進し、インドネシアやベトナム、タイなど東南アジアやインドなどへの輸出を強化し、中国だけに依存する現状を変えようとしています。

半導体製造工場の建設も

また、北海道や熊本県に半導体の製造工場が建設されるニュースをよく見かけますが、これも経済安全保障の一環です。

台湾の半導体企業は世界をリードし、台湾の大手半導体企業TSMCは熊本県に半導体の製造工場を建設中で、2月になって2つ目の製造工場を建設することを発表しました。トヨタやソニーなど日本の大手企業も半導体の製造強化を目指し、北海道千歳市に半導体の製造工場を建設する予定です。

周知のとおり、台湾を巡っては有事の可能性が内外で指摘され、中国と台湾の間では軍事的な緊張が続いています。仮に有事が現実のものになれば、台湾国内での半導体製造は事実上難しくなりますが、TSMCはその可能性も視野に他国で製造を継続できるよう日本などで工場建設を急ピッチで進めています。

まとめ 

多くの日本企業は台湾産半導体に依存していますが、台湾有事によってそれが入って来なくなる恐れがあります。そのリスクを回避するため、日本は台湾と共同で熊本県や北海道での工場建設を急ピッチで進めているのです。これも経済安全保障の一環です。

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