電気自動車(EV)を巡る地政学リスク

電気自動車(EV)を巡る地政学リスク

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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近年、米中の間では半導体を巡る覇権競争がエスカレートしています。

バイデン政権は一昨年10月、中国が先端半導体を利用して人民解放軍のハイテク化を進める恐れを警戒し、中国に先端半導体を“与えない、1つも製造させない”ための輸出規制を強化しました。

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半導体の次はEVを巡って貿易摩擦が激化

しかし、米国一国ではそれを抑えられないと判断したバイデン政権は昨年1月、先端半導体を作るための製造装置で高い技術力を持つ日本とオランダに対して、中国への輸出規制に同調するよう呼び掛けました。そして、日本とオランダは米国の要請に応える形で中国への輸出規制を開始し、今日、中国の米国や日本への不満が強まっており、貿易摩擦が激しくなる可能性があります。

これと同じように、半導体の次はEVを巡って貿易摩擦が激化しそうです。

バイデン政権は5月、中国製EVへの関税率をこれまでの25%から100%に引き上げる方針を明らかにしました。バイデン政権はEVの自国産化を強化する狙いで、多額の補助金を使って安価なEVを大量生産し、それを海外で拡散的に売ろうとする中国の行動をダンピング、不当廉売として警戒しており、対中関税100%は中国製EVの米国への流入を抑えるのが目的です。

欧州の動きは

Happy Asian young woman using ev charging application on smartphone connect with the charging station, Bev or electric vehicle charging station. Woman refueling a battery at EV station.

また、最近になって欧州も同様の動きを見せています。EUは中国製EVの流入によって欧州企業が損害を受ける恐れがあるとして、暫定的に最大で38%あまりの関税を上乗せする方針を発表しました。

米国ほどではありませんが、欧州各国でも中国による経済的威圧などに懸念が広がっていて、今後欧州と中国との間でも貿易摩擦が激化し、欧米VS中国の構図が鮮明になってくるかも知れません。

まとめ 

これに対して、中国は当然のように反発しています。中国は5月、関税法という法律を可決し、それが12月から施行されます。

関税法は、中国との貿易相手国が関税引き上げなど不当な貿易政策を発動した際、中国が報復関税を仕掛けることを明記しており、今後中国はこの関税法によって欧米で報復措置を取ることが考えられます。

半導体だけでなく、EVを巡っても地政学リスクの行方が大きく動きそうな感じです。

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