エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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レアアースは、ハイブリッド車(HV)のモーターや風力発電のタービン、先端半導体、高性能磁石など、日本の主要な産業基盤と国の安全保障にとって欠かせない戦略物資です。
しかし、その供給体制は、採掘から精製に至る工程の大部分を中国が世界的に支配しているという構造的な問題を抱えています。この中国への過度な依存は、日本の戦略的な自律性を脅かす深刻なリスクとなっています。
繰り返される供給リスクと新たな火種

この供給リスクは、これまでにも何度か現実のものとして現れてきました。最も象徴的な事例は、2010年9月に尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件の際、中国が日本への報復措置としてレアアースの輸出を一時的に制限したことです。
近年においても、日本が先端半導体の輸出規制で米国と協調したことに対し、中国は半導体製造に不可欠な希少金属であるガリウムやゲルマニウムの輸出規制を強化したり、日本産水産物の全面輸入を停止したりするなど、経済的な威圧をかけています。
また、高市政権は、日米関係のさらなる強化を外交における最優先事項と位置づけています。高市政権の主要人事で、外務大臣には茂木氏、経済産業大臣には赤澤氏が起用されましたが、両氏とも過去にトランプ政権との経済・貿易分野での交渉経験が豊富であるため、日米同盟の一層の深化を進めるでしょう。
しかし、米中対立が深まる中で、高市政権が米国と対中政策で足並みを揃えることがあれば、中国からの報復的な経済措置を誘発する新たな引き金になりかねません。実際、中国側も高市氏の保守的な路線に対しては懸念を表明しています。
完全脱却ではなく、耐性強化へ
このような背景の中、中国依存のレアアース問題をどのように解決し、日本の戦略的な自律性を高めていくかは喫緊の課題です。しかし、結論から言えば、中国が世界のレアアース市場を掌握しているという現状は短期間で覆すことは不可能です。
したがって、日本が目指すべきは、中国への依存から完全に脱却することではなく、いかに依存度を下げ、供給途絶のリスクに対する耐性を高めるかという現実的な目標設定であるべきです。
講じるべき具体的対策
では、具体的にどのような対策が考えられるでしょうか。
まず、調達先の多角化とアフリカ諸国との連携強化です。地政学的な視点から見ると、日本はまず、調達先の多角化を強力に推し進める必要があります。特に、中国以外の新たな鉱山開発や精製施設の整備が進むアフリカ諸国に対して、積極的な投融資や技術協力を通じた連携を強化することが極めて重要です。
アフリカには未開発のレアアース資源のポテンシャルが大きく、長期的なサプライチェーンの安定化に貢献する新しい供給源となる可能性を秘めています。近年、南アフリカ、タンザニア、ケニアなどで鉱山開発プロジェクトが積極的に進められており、日本企業のアフリカへの関心も高まっています。
また、米国やオーストラリア、インドなど、価値観を共有する同盟国・友好国との間で、採掘・精製・利用に至る強靭なレアアースのサプライチェーンを共同で構築し、経済安全保障上の連携を深めることが不可欠です。
最近では、トランプ大統領とオーストラリアのアルバニージー首相がホワイトハウスで会談し、レアアースおよび重要鉱物に関する協定の合意文書に署名しましたが、これには日本が関与するプロジェクトも含まれるとされています。
まとめ
このような連携を通じて、中国による経済的な威圧に対する集団的な抑止力を高めることができ、高市政権下の対米重視路線が招きかねない中国からの新たな報復リスクを最小限に抑えることが期待されます。











