もくじ
新型コロナウイルスの蔓延防止のために外出が自粛された影響で、オンラインで買い物をするE-Commerce (EC)が世界的に活性化されました。
Statistaによると、中国のeコマース市場は2022年までに世界最大になると予測されており、インターネット販売は同国の小売販売の半分近くを占めています。
第2位はUK (36%)、そして韓国(32%)、デンマーク(20%) が続きます。2022年、有望なeコマース市場はアジアが中心です。
オンライン販売に基づいて最も急速に成長しているeコマースの国は、フィリピンとインドであり、eコマースの販売は25% 以上増加すると予測されています。
この記事では、越境ECの基本と、参入するメリット・デメリット、海外展開した成功事例を解説します。
越境ECとは?
越境ECとは国境を越えたeコマース、つまり海外市場で商品を売るサービスの事を言います。
昔は初期投資や宣伝広告に十分な資金を費やすことのできる大企業の特権でしたが、近年はウェブチャネルの拡大、決済ソリューションの多様化、物流の発達などにより、中小企業や個人にもチャンスが生まれています。
以下、図のように2010年前半から、日本企業がこの市場へ参入するようになっていきましたが、日本経済の縮小、円安の要素を考慮すると、現在は越境EC市場に参入する絶好の時期と言えます。
越境EC参入のメリット・デメリット
事業の海外展開として、越境ECを行うメリット・デメリットを解説します。
越境EC参入のメリット
越境ECのメリットは、日本で売れていたものを更に海外でも売ること、日本では見つけられなかった市場を海外で見つけることによる市場の拡大です。
製品を他国で展開する場合は、他国の生活習慣、トレンドなどの事情をよく把握することが成功の鍵になります。
その場合は、市場調査でデータを調べることも重要ですが、何よりも現地視察やインタビューなどで実際の体験をすることが重要です。
日本で確固としたブランドイメージと品質保証のある信頼のおけるブランドは、日本のモノづくりの技術や品質の高さがセールスポイントとなるでしょう。
越境EC参入のデメリット
越境ECのデメリットは、言語の壁、集客、海外で売れるための商品化、国ごとに異なった法律や規制、物流の手間とコストを見越した収益計算の複雑さなど、障害が尽きないように思えます。
・英語や現地人材が必要になるのか?
・プロモーションや集客のノウハウのある現地企業とパートナーを組むべきなのか?
・各国で異なる決済方法に対応するには?
・物流コストを抑えるには?
上記のようなポイント・壁を乗り越えなければいけない注意点があります。
ここからは、こうした注意点や不安を解消するための手段と、越境ECサイトを出店するまでの過程を紹介します。
越境ECの種類
越境ECの種類は大きく分けて2つです。
- ECモール型
- 自社モール型
それぞれの特徴を理解し、自社にはどちらが相性が良いのかを把握しておきましょう。
ECモール型
ECモール型は複数の会社が出品する大型サイトです。
Amazonに代表されるように、複数のブランドが一つのサイトで検索することができます。
Amazonでは、分野についてもほとんど無差別と言えるほど多様ですが、ファッションや趣味などの専門分野のみで複数ブランドを扱うサイトも大きく成長する傾向が世界各国で見られます。
自社モール型
自社モール型は独自のドメインを取得して物品を販売するタイプです。
少し前まで自社モール型のサイトは、実際の店舗を構えて既にブランドとして確立している会社が、店舗に足を運ぶことをできない顧客のためにオンライン販売をする目的で利用されるケースがありました。
実際に店舗がなければブランド名を広める機会もなく、独自のドメインは誰の目にも触れることができなかったからです。
しかし、Facebook、InstagramなどのSNSや、アルゴリズムを利用したYoutubeや広告などが普及したことで小さな販売店が爆発的な人気を呼ぶ機会が生まれました。
インターネットの活用の変化と拡大により購買の傾向が変わり、新しいビジネスとして急激な成長を遂げているのはECモール型も同じです。
ECモール型・自社モール型、今から参入するならどちらが良い?
ECモール型か自社モール型か。それを決定するには、自社の商品はどちらに適しているかを知る必要があります。
自社の商品の市場はどこにあるのか、その市場によっても適した方法が違うでしょう。
また、言語、決済方法、物流の問題をクリアしながら、海外市場で強い競争力を持たなければ成功することはできません。
越境ECサイトの成功事例
これまで大きな成功を収めている日本の越境ECサイトのECタイプ(自社/モール型)、商品、販売国、売り上げ、決済を参考にして、成功の秘訣を紐解いてみましょう。
【Otaku Mode】から学ぶ、集客と言語問題の解決方法
Tokyo Otaku Mode
Tokyo Otaku Mode(otaku.com) は正規フィギュア、Tシャツやアクセサリーなどのファッション、様々なグッズを販売するECサイトです。
始まりは2011年、アニメ、漫画、ゲーム、ファッションなどの日本のポップカルチャー情報を発信するFacebookページでした。
2022年現在は日本企業としては最多数、約2,050万人のフォロワーがいます。同社が世界のフォロワーのリクエストに応えてECのグッズ販売をスタートしたのは2013年で、今は世界100カ国以上にグッズが届けられています。
フォロワーの99%は海外在住の外国人で、多くはフィリピン、インドネシア、インドなどのアジア国です。
一方、ECの売上比率はアメリカとカナダで50%以上、次に多いのがオーストラリアと中国で、この4カ国合計で全体の70%を占めています。
Instagramでは顧客層をアカウントごとに分けて「いいね!」数を獲得
Twitter、Tumblr、微博、InstagramなどのSNSも活用しているTokyo Otaku Modeですが、41.8万人のフォロワーがいるInstagramページの他にも、別の顧客層に合わせた4つのアカウントを運営。
Instagramは成長率が高く、他のSNSサイトよりも「いいね!」を押される率が高い傾向にあります。
同社がSNS運用において最も大切にしている指標はこの「エンゲージメント率」で、InstagramはFacebook、Twitterの何百倍ものエンゲージメント率が出ていると話します。
アカウントを分けることで、顧客の心に刺さる広告をし、エンゲージメント率を上げることが集客につながっています。
『非言語コミュニケーション』で越境ECの問題点を解決
ECサイトの越境対策は、サイトを多言語化するだけではありません。
「すべての文章を翻訳するという発想をいったん置いておいて、クオリティの高い写真を10、20アップしてみてください。
当社の実績では、そのほうがずっとリアクションが良くなっています。Instagramは写真がメインのSNSなので、越境ECにも向いているわけです。」とMDチームマネージャーの吉見晋平さんがアドバイスしています。
各国の法律に基づいて出店方法やマーケティング戦略を変更
Tokyo Otaku Modeは中国最大のオンラインショップ「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店しています。
プロモーションについても中国の規制に従い、Facebookの代わりにウェイボー(微博)を活用しています。
気になる、決済方法は?
自社ECサイトotakumode.comは、全世界ドル建ての値段を表記しています。
決済プラットフォームに連携しているのは、2日後に着金するStripe、PayPal。利用者は各サービスのアカウント、またはクレジットカードでの決済が可能です。
ただし、中国に関してはオンラインショッピングモールのかたちで、別立てで決済する方法を取っています。
【参考記事】
「越境ECの先駆者「Tokyo Otaku Mode」がInstagramに力を入れる2つの理由」(2016年2月 ECzine)
「日本のポップカルチャーを世界に届ける越境EC を展開 越境ECに強い決済の採用や独自のノウハウにより不正リスクを最小限に(Tokyo Otaku Mode)」(2018年5月 Payment Navi)
Tokyo Otaku ModeではSNS集客に長けたチームが時事に合った形でプラットフォームを探してコアな客層の心を掴んでいることが成功の鍵ということが分かりました。では、SNSが得意でない企業が越境ECに参入する場合には、どのような方法があるのでしょうか。独自のサイトではなく、いくつものブランドの商品を1つのサイトから購入することができるECモール型サイトを参考にしていきましょう。
国内モール型No.1【BEENOS】から学ぶ、海外で売れている商品
BEENOS
越境EC事業を展開して13年の経験を持つBEENOSは、国内ECサイト2,500店舗以上の海外販売をサポートしています。
「BEENOS 2021年上半期 越境ECランキング」では、越境EC 流通総額No.1を記録しました (BEENOSグループの購買データより)。このBEENOSから、海外で売れる日本製品について学びましょう。
日本独自の製品販売すれば外国企業と競争しない
2021年上半期の二大ジャンルは「趣味」と「ファッション」でした。
特に、世界中からで人気を集める人気アニメVTuberのトレーディングカードが数千万単位で海外に取引されたことがこの成果を支えています。
「趣味」分野では、日本のデザインの独自性や品質の高さ、ある分野でそのブランドの持つ信頼性の高さから越境ECに繋がりやすいという特徴があります。
それは「日本から買わないといけない」という明確な理由があるためです。この上半期の売れ筋TOP10を見てみましょう。
趣味に関する販売が圧倒的に多く、家で楽しむことができる趣味の商品が読み取れます。これは新型コロナ感染症の影響により、「おうち時間の充実」に消費者の興味が向いていたことが起因していると推測できます。
トレーディングカードが売り上げに貢献していたことも同様に、時代の流れや消費傾向を先見することが成功の鍵となります。
ファッションは有名ブランドが海外で人気
アパレル業界は、2020年以降コロナ禍の外出自粛により停滞しているものの、2022年第3四半期の流通総額は前年同期比22.6%増で過去最高を継続更新。
円安の影響もあって海外での利用が増加し、特にアメリカ、台湾、香港、マレーシアの流通が拡大しました。
アーバンリサーチ、オンワード、CA4LA、ベイクルーズ、ロコンドなどの日本を代表するアパレル企業やセレクトショップ、リユースショップで、2022年の売り上げは前年に比べて3倍に伸びました。
*Buyee業務成績より(BuyeeはBEENOS株式会社の連結子会社のtenso株式会社が運営する、海外向け購入サポートサービス)。
「Buyee」痒い所に手が届く越境ECサポート
- 多様な決済手段に対応
Paypal、Alipay、銀聯クレジットカード等各種クレジットカード、台湾向けにAFTEE
- 豊富な配送手段に対応
Buyee独自空運サービス・DHL・EMS・SAL便・FedEx・国際小包・船便など
- 独自の保障サービス
Buyee独自の検品・配送補償を提供
- 不正決済防止
ECサイト事業者様側には不正決済のリスクがない、Buyeeによる購入サポート
【参考記事】
「2021年上半期 越境ECランキングを越境EC 流通総額 No.1(※1)のBEENOSが発表」(2021年6月 PR TIMES)
「【2022年最新】ファッション・アパレルECサイト比較!トレンドや市場規模も解説」(2022年6月 ECbeing)
こういったECモール型のサイトは、サイト自体の訪問数の多さから大きな市場に介入することができるので、自社の集客戦略にかかる負担を軽減することができます。
では、こういったECモール型がどのようなシステムで運営されているのかを見ていきましょう。
【Shopify】から学ぶ「総合型ECモール」でこんなに楽に出店できる!
Shopify
「注文、発送、決済を一元管理」をスローガンに掲げるShopify(ショッピファイ)は、世界シェア率No.1のECサイト構築サービスです。
本部の所在地はカナダにあり、設立されたのは2006年です。現在は世界175か国・170万以上のビジネスがShopifyを導入しています。日本では、2017年に日本法人「Shopify JAPAN」が設立されました。
このサービスの利点は言語・通貨に対応する機能がついている点、そして販売状況や在庫状況などが自動的に集計されるなどの管理サービスが充実していることです。
2021年の流通総額は、4440億ドル(約48.7兆円)を記録しています。このサービスが、先に挙げたような越境ECの問題をどのように解決しているのかを見ていきましょう。
ボタンひとつでSNSマーケティングができる機能
ShopifyはEC型モールで、ECサイトを構築するのではなく、すでに運営しているサイトに販売フォームを搭載する仕組みです。
InstagramやFacebook、TikTokなど、集客に役立つSNSとの連携機能が充実しているので、集客が簡単になります。例えば、Shopifyの管理画面からTikTokへの広告出稿ができるなどの機能があります。
海外への売り出しも、自動設定で解決済み
海外への商品の売り出しは「エリア設定」をするだけで言語と通貨が最適化されます。
言語・通貨は閲覧者に合わせて自動的に対応するように設定されているため、この操作一つで海外のユーザーは自国の言語で閲覧、購入することができる仕組みです。
既存の決済ツールを利用して決済
自分で決済ツールの登録や連結をする必要がありません。海外決済だと、クレジットカード(Visa、Mastercard、JCB、American Express)、PayPal、Google Pay、Apple Payなどが連携しています。
ちなみに、国内決済だと携帯キャリア、PayPay、Atoneなど選択肢は更に広がります。言語、集客、決済方法の3つの点が簡単に解決できる点がモール型ECサイトの利点です。
海外ECサポートサービスの内容
5種類のプランがあり、管理権限者数、手数料、管理機能が変わります。
マーケティング戦略に役立つデータ解析機能
プロフェッショナルレポート
時間帯による変化・初回とリピーターの違い・国別の販売状況など、カテゴリーごとに顧客を分析できる機能が付きます。「どんな人が」「どのように利用して」「どのように商品を購入しているのか」ストアに必要なデータを効率よく整理することで、より販売能力が当たります。
Shopifyのサービスのもう一つの柱「管理機能」
APIによって外部システムとの連携による業務効率化ができるようになっています。連携できるのは、MAツール・タスク管理ツール・CRM・POSなどです。利用できるのはベーシックプラン以上のプランです。
【参考記事】
「Shopify(ショッピファイ)とは?これだけ読めば基礎から全てがわかる記事!」(2021年11月 Shopify)
物流についての解決策を提示する注目のサービス【World Shopping Biz】
海外に配送する際に計算を間違ってしまい利益が出ないケース、または手続きが面倒になることも、越境ECの不安の一つです。この不安を解消できるサービスを提供するサービスがあります。
World Shopping Biz
自社のECサイトに「タグを入れる」(JAVAなどのプログラムに一行追加する) だけで言語、決済、海外発送、入金までの管理ができるようになり、世界225か国に商品を販売することができるサービスです。2015年に設立され、本社所在地は東京渋谷区にあります。
このサービスで注目なのは、国内の倉庫に発送をするだけで海外用梱包、配送先言語で輸出インボイス作成、配送保険もかけて消費者まで配送されます。
送料を含めた決済を顧客に請求するので、EC会社の不安が解消される、物流ソリューションの強さが魅力です。保険もついているので、万が一の時のためにも安心です。
このサイトの初期費用は33,000円、月額利用料は5,500円なので、1年間の投資額は約10万になります。メルマガ配信やキャンペーン支援などの販売促進機能もあります。
まとめ
この調査を通して、ウェブチャネルの拡大、決済ソリューションの多様化、物流の発達が越境ECにどのように影響しているのかが見えてきました。
特にECモール型のサイトはサービスの低料金化と簡素化の競争が盛んで、これからもより発展する勢いが感じられます。
自社EC型サイトでは、商品自体を宣伝するのではなく、関連情報を発信することでその分野に興味のある人を惹きつけるという手法が成功の鍵となっています。
「間接的」なマーケティングや集客によって、ただ商品を売るだけではなく「バズる」、つまり流行を作り、市場を独占することができる時代ということも浮き彫りになりました。
出店社にとって越境ECが手の届きやすい市場となっている今は、越境ECのアイデアをすぐに実現する絶好の機会です。
越境EC運営・海外進出を検討している方へ
海外とのビジネスに際し、下記のようなお悩みはないでしょうか?
- 現地の情報を調査・リサーチしたい
- 現地に住んでいる方へ自社の製品・サービスに対して意見を聞きたい
- 海外クライアントとのやりとりは言語の壁が不安
- 翻訳をどこに依頼すれば良いかわからない
上記のようなお悩みをお持ちでしたら、まずはオシエテにご相談ください!
「現地で同行してくれる通訳者はいる?」
「資料の翻訳やローカライズについて」
「現地在住の方に話を聞いてみたい!」
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