もくじ
消費、生産共にEU最大の経済大国ドイツ。ドイツでの成功は世界での成功の大きなステップになります。ドイツへの進出や出張前にこの記事でドイツでのビジネスのコツ、ドイツのビジネスマナーを学んでみましょう。
ドイツと日本企業の関係性について
魅力的な欧州市場。欧州に進出している日系企業の3分の1はドイツに拠点を置いています。
ドイツに拠点を置くメリット、それはEUを牽引する経済大国であることです。
またインフラの良さも大きな理由の一つです。
日本とドイツは工業、医療関係など、得意とする主要産業も多くかぶっており、最も日系企業が多く進出しているノルドラインヴェストファーレン州ではそのうちの約半数が製造業です。
ロジスティックやその他の要素も比較的似かよった環境にあり、ビジネス条件は整っています。
さらに、ドイツの企業家の3分の1が移民的背景を持つ、というドイツ経済技術省の調査結果にもある通り、外国企業に対してオープンです。
起業、3人に1人が移民、企業数25%増(5年前比)―経済技術省調査https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2012_3/german_01.html
ドイツ企業の組織構造
ドイツで企業する場合、株式会社の設立はハードルは高く、コストもかさみます。
そのため、大規模で海外に何箇所も拠点を持つようなドイツ企業であっても、形態を有限会社としていることが一般的です。
株式会社は手続きも煩雑で、法的な規制も多くなるため、ドイツに進出している日系企業も9割以上は有限会社の形を取っています。(ドイツニュースダイジェスト記載)
また、労働者を守る法律がかなり徹底しているドイツでは、法に定められた時間を超過して就業したり、法定休日を遵守しないと、企業側に罰金や懲罰が課せらます。
たとえ白熱した会議であっても時間内に終了できるよう、時間的余裕をもってスケジュールを組む必要があります。
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ドイツ企業との商談の際に鍵となるビジネスマナー
いざ商談!のその前に、ドイツのビジネスマナーについてご紹介します。
ドイツでの服装マナー
近年はドイツのビジネスシーンにおける服装はリラックスした肩ひじのはらないノーネクタイが主流です。
よほどかしこまった場でなければ、ワイシャツにノーネクタイで問題ありません。ただし、ジャケットは着用しましょう。
女性は日本と同様に男性と比べ自由です。
ドイツ企業ではドイツ語と英語、どちらが主流?
ドイツ企業とのビジネスを進める上では、専門的な話になる程、ドイツ語の方がより深く話を進められます。
業種にかかわらず、営業系管理職ほど英語を話せる人が多く、現場に関わる技術系スタッフほどドイツ語で話す傾向があります。
ドイツ企業相手に商品の技術的、専門的な話に踏み込む場合はドイツ語が無難です。
※ドイツでは第一外国語が日本のように英語と決まっておらず、大卒でも英語を履修していない人もいます。
また大学の少ないドイツでは、エンジニアでも、専門卒や短大卒の人が圧倒的に多く、必ずしも英語を話せるとは限りません。
日常会話は英語のできる人も多いですが、専門的な話はドイツ語の方が正確に通じます。
しかし、見本市など各国企業が集まる場では、たとえ開催地がドイツであっても英語が便利です。
その商談がが独日間のものなのか、多国籍なものなのかで使い分けましょう。
もちろん、簡単な挨拶語だけでもドイツ語で切り出すことができれば、グッと、好感度はアップします。
ドイツ企業への手土産持参は注意が必要!
ここはドイツのビジネスマナーと日本のビジネスマナーの大きく違うところです。
ドイツでは、民間企業であっても条例によりビジネスシーンにおける贈答品のやり取りは厳しく規制されており、監査も頻繁に入ります。
不当に高価な贈答品は賄賂にあたるというわけです。
贈答品を送ることがよい効果どころか、相手に迷惑をかけることにもなりかねません。
どうしても何か気持ちを送りたい場合は、規制の対象外とされるお菓子類、もしくは事務用品、会社のロゴ入りの宣伝グッズなどで、いずれも3,000円ぐらいまでの品にしましょう。
和柄の文具や和風名刺入れ、日本風情のあるカレンダーなどはとても喜ばれます。
また、日本のラッピング技術はとても美しいので、何気ないものを美しく包装してあるだけでもとても相手の心を打ちます。
ただし、条例で厳しく取り締まられるのはドイツ国内における商談の場合のみですので、ドイツ以外の場所や日本国内でドイツ企業と会談する場合は、手土産や贈答品は値段にかかわらず喜ばれます。
ドイツでの挨拶マナー
ここからはドイツ企業との打合せの際に使える、挨拶のコツをお教えします。
ちなみに名刺交換は日本と全く同じ習慣です。
ドイツ人と仲良くなる挨拶の方法
「外国人だからやっぱりちょっと感覚違うよね」「外国人だからまあ、仕方ないか」と相手に思わせては、ビジネスの道のりが長くなります。
ドイツ人の心をつかむコツは、長々と前置きをせずに、はじめからハッキリと本題を切り出すことです。断るにも、承諾するにも、気を持たせずに核心から話しましょう。
この点さえ押さえておけば、礼儀正しく、謙虚で有言実行の日本人の態度はドイツのビジネスマンからかなりの高評価をもらえるはずです!
「それでは、ビジネスに関係のない世間話はドイツ人とはできないのか」と思う方もいるかもしれません。
もちろん、そういった話もドイツ人ともできます。が、日本とは順番が逆なのです。
日本式のビジネスでは、世間話など外堀から攻めて、だんだんと核心に近づけます。
ドイツではまずは本題と核心から入ります。
ビジネス的にお互いに信頼できる関係が構築されてから、初めて心を開いて世間話を始めるわけです。
ビジネスにおいて、お互いに無益なもの同士と判断されれば、世間話に至る前に関係は終わります。
仕事上では、仕事の話題を中心にコミュニケーションは盛んです。効率重視で、休暇に入る担当者は同僚にメールを転送するように自動転送が設定していることが多いです。
ドイツで喜ばれる話題は?
無難に盛り上がれるのはスポーツや旅行の話です。
特にサッカーは国民的スポーツで、ドイツで大活躍している日本人選手も多いです。
また、ドイツ人は旅行好きの民族ですので、例えば、あなたが商談に訪れたドイツの名物料理や観光地、写真スポットを聞くだけでも、喜んで語ってくれるに違いありません。
ドイツでは避けるべき話題は?
ドイツ人は南欧と比べるともともと明るくない国民性です。だからこそ明るい人が好まれます。暗いニュースや話題は避けましょう。
また、様々な国からの移民が混ざり、多種多様な文化背景がありますので、宗教の話はしないほうが無難です。
ドイツでは相手の呼び方に注意が必要
ドイツは敬語、敬称の使い方に大変厳しい国です。ファーストネームで呼び合うのには、ドイツ人同士でも何年もかかる場合もあります。
年長者や目上の人の方から「ファーストネームで呼んでもいいよ」というお許しが出るまで、年下や目下の人間から切り出すことはできません。
相手から、「ファーストネームで呼んでね」と切り出されない限り、姓に敬称をつけて呼びましょう。
ドイツでは男性に対してHerr、女性に対してFrauという敬称がありますが、通常ドイツ語の話せない人は英語のMr, Mrs を使います。
ベースの会話が英、仏、日なのに敬称だけドイツ語いうことはありません。
ドイツ語の話せない方の場合、ミスター、ミセスをつけるのが普通です。
また、名刺にProf(プロフェッサー/教授)、Dr (ドクター/博士)とタイトルがついている場合は、Dr Yamada (ドクター ヤマダ)という風にタイトルをつけて呼びます。
ドクターに対して、ドクターを無視して「ミスター ヤマダ」と呼ぶのは失礼に当たります。時々、心理学教授および法学博士というように、2種類も3種類も称号のある人がいますが、その場合は、そのうちの高い方の学位を1つつければ大丈夫です。
ドイツ企業との商談の進め方
日本では状況や理由説明をした後、最後に結論に導きますが、ドイツではまず冒頭に結論、それからそこに至った状況説明を話し始めます。
このドイツ式プレゼン法を心得ておくと、「話のわかる日本人」として、ドイツ人の気持ちをグッと引きつけることができます。
特に初対面の場合は、自分が何の目的でここにきたのか、冒頭でハッキリと明確にさせます。
漠然と商品カタログを1ページずつめくるよりも、自分が最も売りたい商品、これのためにわざわざドイツに来たんだ、という、一番のオススメを最初からアピールします。
その後具体的な資料や会社の組織図を持ち出して関心を引きましょう。
商談締結までの期間はどのくらい?
時間的な感覚はドイツは日本に近いものがあります。
しかしドイツでは法で定められた有給休暇があり、ドイツでは連続して長期休暇をとることも一般的です。
長期休暇の際は「長期休暇に入るから休暇明けに連絡をします。」と事前通告してくれたり、その間の代理担当者を指定してくれます。
急ぎの場合は、返答を急かして大丈夫です。
有給休暇や残業に対する厳しい法規制があるので時間外労働は強要できませんが、フレックス制を利用したり、効率よく手配して対応してくれます。
ドイツ企業とのwebミーティングはどう行う?
webミーティングはドイツでも急速に普及し、広く浸透しています。
一般的なツールは、Zoom、Microsoft Teams、スカイプなどです。
ドイツでの会食のマナー
会食の頻度はケースバイケースです。
条例による賄賂取り締まり規制により、接待的な会食は減りつつあります。
ですが、互いの親睦を深める目的で豪華すぎない会食の席をもうけることはあります。
ドイツの食事マナー
日本ではお椀を手で持ち上げて食べなければマナー違反とされますが、ドイツでは皿やお椀を持ち上げるのはマナー違反です。
サラダの入った小鉢や、ゼリーの入ったカップなどでも、テーブルに置いたまま持ち上げずに食べます。
ただし、飲み物はグラスやカップを日本と同じように持ち上げて飲みます。
また、音をたててすするのはマナー違反ですので、どんなに美味しいスープやパスタでも、音をたてずに静かに口にしましょう。
ドイツのアルコール(飲酒)マナー
日本のお酒の席では、差しつ差されつで、お酌し合うのが楽しみの一つでもあります。
ドイツのビジネス会食では、レストランならウエイターが、手酌ならば招待する側が客に一方的にお酌します。
つまり、勘定を持つ側がお酌をする権利があるわけです。
もし、あなたが招待された側なら、ホストに対して手酌するのはマナー違反です。
ただし、同等の立場、つまりゲスト同士での手酌は問題ありません。
またビジネスではなくプライベートな友人間の集まりなら、無礼講で何でもありです。
ドイツのレストランでチップは必要?
ドイツのレストランではチップ制度があります。
これはサービスに満足したから支払うというものではなく、通常はよほどひどいサービスでなければ払うものです。飲食総額の5〜10%程度を払います。
ドイツでのチップの支払い方
カード払いの場合は、そのレシートのサイン欄の上あたりにチップ額を書き込む欄があるので、チップもカード払いにできます。
しかしチップは別途現金払いの方がウエイターには喜ばれます。ウエイターのつかないセルフサービスの店ではチップは不要です。
ウエイターにカードを渡して、離れた場所にあるレジで会計をしてきてもらう、というのは防犯上やめた方が無難です。カードを扱うレジが店内の離れた場所にある場合は、自分もレジまで一緒に行き自分のカードから目を離さないようにしましょう。
ドイツのビジネスマナーまとめ
- 労働時間に関する法や贈賄に関する条例など、遵守に厳格な法規制もあるので要注意。
- ドイツ人は日本人と同じく、礼儀と時間に厳格。
- プレゼンの場合は、話し方の順序は結論から
- 食事は音をたてない。お酌はウエイターかホストがするもの。
ここまでドイツのビジネスマナーをお伝えしてきましたが、いかがでしょうか。
ドイツのビジネスマナーからもその経済大国らしい合理性が感じられます。マナーをしっかり押さえてから出張や商談に臨めれば、ビジネスのスピードをテンポアップできることでしょう。
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