エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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2025年10月の高市総理とトランプ大統領の会談によって、日米同盟は「新たな黄金時代」を迎えています。
安全保障と経済安全保障における両国の連携強化は、歴史的な水準に達しています。日本が防衛費のGDP比2%達成を前倒しで表明したことは、米国からの防衛負担増要求に対する積極的な対応と受け止められ、同盟の基盤をさらに強固なものにするものと言えます。
2026年、米国との関係は

しかし、2026年はこの「黄金時代」が真に試される年となるでしょう。トランプ政権の米国第一主義は、貿易摩擦の再燃や通商分野での予期せぬ保護主義的措置を引き起こす可能性を常に秘めています。特に、トランプ大統領が多国間協調から距離を置く姿勢を徹すれば、台湾有事などの危機に対する集団的な抑止力維持に影響が出かねません。
日本は、米国の内向き志向に対し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想をこれまで以上に主導的に推進することで、同盟の価値を米国に改めて認識させる外交努力が求められます。
経済安全保障の面では、AIや重要鉱物といった戦略的分野での協力は不可欠ですが、米国が同盟国に対しても過度な規制や情報開示を要求する可能性もあり、その場合、日本は国益と技術流出防止のバランスを取る難しい舵取りを迫られることになります。
日中関係における外交と経済の行方は
一方、日中関係は、高市総理による台湾有事に関する「存立危機事態」の認識を示す国会答弁をきっかけに、政治的な緊張状態に入っています。
中国側はこれを「レッドライン(越えてはならない一線)への挑戦」と捉え、外交的な威圧と経済的な圧力を背景に、答弁の撤回を強く要求しています。2026年も、この「台湾の影」が日中間のあらゆる交渉に重くのしかかり続けることは確実でしょう。
日本が「存立危機事態」の認識を堅持する限り、中国は首脳レベルの対話を意図的に回避し、高いレベルの政治的交流は停滞すると見られます。その結果、尖閣諸島周辺における中国公船の活動の常態化や、日本人拘束問題、経済的制裁リスクといった懸案事項に対する外交的な解決の糸口が見つかりにくくなることが懸念されます。
経済面では、中国経済の構造的な減速と過剰生産、国内での競争激化が、日本企業の対中投資意欲を低下させることが予想されます。加えて、政治的な軋轢が、日本製品や日本企業に対する不買運動や不当な規制へと発展するリスクも無視できません。
日本企業は「デリスキング(リスクの低減)」を加速させ、サプライチェーンの多元化を一層進める必要があります。
まとめ
2026年、日本の外交は、日米同盟の維持・深化という安定軸を堅持しつつ、日中間の緊張を管理するという、極めて困難な二正面作戦を強いられることになります。特に、台湾をめぐる地域の緊張が高まる局面では、高市総理の主導的な外交手腕と、予期せぬ危機を回避するための対話チャンネルの確保が、東アジアの平和と安定にとって最も重要な鍵を握っています。
日本は、単に米国の意向に沿うだけでなく、アジアのリーダーとして自国の理念と戦略に基づいた外交的役割を明確に打ち出す必要があります。











