中東を巡る地政学リスク

中東を巡る地政学リスク

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が止まない中、イスラエル軍は4月1日、隣国シリアに向けてミサイル6発を発射し、首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物に着弾し、イラン革命防衛隊の司令官や軍事顧問ら13人が死亡しました。

イランは国際法違反であり、必ず報いを受けさせると反発しました。イスラエルはこれまでもシリアにあるイラン権益への攻撃を繰り返してきましたが、大使館という外交施設が標的となったのは今回が初めてです。

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イランはどのような対応手段を取るか

今後ポイントになるのは、イランがどのような対応手段を取るかです。しかし、今日イスラエルは戦争状態にあり、仮にイランがイスラエルに対して報復的な軍事攻撃を行えば、イスラエルがイラン領内へ攻撃する可能性が飛躍的に高まり、両国が直接軍事衝突する事態となり、それは中東全体の安全保障を脅かすことになります。

イスラエルとイランの軍事的緊張が高まれば、地理的に日本へ向かう石油タンカーの出発地点となるペルシャ湾は両国の間にあり、日本の石油事情にも価格や貿易の面で影響が出てくることが考えられます。

しかし、それはイラン経済にも大きな打撃となることは間違いなく、イラン自身も戦争に巻き込まれることリスクを認識しており、今すぐこのシナリオがやってくるわけではありませんが、今後もこの緊張は続くでしょう。

イスラエル企業との関係は

また、今日のもう1つの大きな問題点は、イスラエル企業との関係です。日本企業にもイスラエルへ進出したり、イスラエル企業と提携したりする企業も増えていますが、今年2月に伊藤忠の子会社であるいとう伊藤忠アビエーションがイスラエルの軍事企業エルビット・システムズ社と結んでいた協力関係を終了すると発表したように、イスラエル企業と関係を維持することで会社のブランドやイメージが低下するリスクが生じています。

まとめ 

イスラエルによる軍事行動がエスカレートして以降、アラブ諸国などではイスラエルへの反発が強まり、イスラエル製品をボイコットしようとする動きが広がり、イスラエルを支持する米国もこのリスクに巻き込まれ、インドネシアやマレーシアにあるマクドナルドやスターバックスなどでは客足が減っているようです。

日本企業としては中東の地政学リスクの行方を注視しながら、イスラエル企業との関係を考えるべきでしょう。

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