
エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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自民党総裁選の結果、高市早苗氏が初の女性総理に就任することが決定しました。
この歴史的な転換は、日本の政治に新たな一歩を刻むものですが、同時に、重要な貿易パートナーである中国との経済貿易関係にどのような影響をもたらすのか、国内外で大きな注目が集まっています。

国内の景気回復と成長投資を重視する経済政策
高市新総理は、「アベノミクス」の継承を掲げ、「サナエノミクス」として積極財政や金融緩和を推進する方針を打ち出しています。
国内の景気回復と成長投資を重視するこの政策は、日本経済全体にとっては追い風となる可能性があります。しかし、日中関係においては、その保守的な政治スタンスから、経済面での不確実性が高まることが懸念されます。
中国の国営メディアは、高市氏を「女性版安倍晋三」と評し、そのタカ派的、保守的な姿勢に警戒感を示しています。特に、靖国神社への参拝歴や、台湾問題に対する強硬な姿勢は、歴史問題や安全保障上の懸念と結びつき、日中間の政治的な緊張を高めるリスクを内包しています。
求められる繊細な外交手腕

政治的な対立が深まれば、経済貿易関係にも悪影響を及ぼす可能性は否めません。具体的には、中国国内での日本製品に対する不買運動の再燃や、投資・ビジネス環境における規制強化などが考えられます。
既に、国際社会では、経済安全保障上のリスク低減のため、サプライチェーンの「デリスキング」(リスクの切り離し)が叫ばれており、高市氏が前経済安全保障担当相を務めていたこともあり、この流れが加速する可能性もあります。
一方で、日本企業にとって中国市場は依然として巨大であり、完全に切り離すことは現実的ではありません。また、高市氏の経済政策には、経済協力を維持するインセンティブも存在します。重要なのは、政治的な緊張と経済的な相互依存という二律背反を、いかにバランス良くマネージしていくかという点です。
今後、高市政権は、歴史認識や安全保障上の立場を堅持しつつも、経済面では実務的な対話の窓口を維持し、企業活動への悪影響を最小限に抑えるための繊細な外交手腕が求められます。
まとめ
日中間の経済貿易関係の行方は、新総理の外交姿勢と、それに対する中国側の反応によって大きく左右されることになるでしょう。新政権発足後の具体的な対中政策と、それを受けた日中間の経済対話の動向を注視していく必要があります。