
エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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トランプ大統領がロシアとの関係改善に動く可能性が、注目を集めています。
彼の政治的スタイルや過去の発言を振り返ると、そこには明確な意図が隠されていると考えられます。具体的には、トランプ大統領がロシアに接近する理由として二つの大きな目的が浮かび上がります。
一つ目は、ウクライナ戦争を停止させることで国際社会における自身の評価を高め、ノーベル平和賞を獲得しようとする狙いです。二つ目は、対中国戦略の一環として、ロシアと中国の緊密な関係を切り崩し、アメリカの地政学的な優位性を確保しようとする意図です。
この二つの理由について、詳しく見ていきましょう。

ウクライナ戦争終結を目指す理由
まず一つ目の理由として、トランプ大統領がウクライナ戦争の終結を目指す可能性が挙げられます。
2022年に始まったロシアとウクライナの紛争は、欧米諸国とロシアの対立を深め、世界経済にも大きな影響を与えてきました。
トランプ氏は大統領在任中、外交において大胆なアプローチを取ることで知られており、特に「ディールメーカー(取引の達人)」としての自負を持っています。彼は過去に、北朝鮮の金正恩氏との首脳会談を実現させた実績を誇りにしており、似たような手法でウクライナ問題に介入しています。
具体的には、ロシアのプーチン大統領と直接交渉し、停戦を仲介することで紛争を終結させようとしています。トランプ氏は選挙戦でも「私が大統領なら、24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と豪語しており、その発言からは迅速な解決への自信がうかがえます。
もし彼がこの公約を実現できれば、国際社会から高い評価を受ける可能性もあります。トランプ氏は自身の功績を歴史に刻むことに強い執着を持っており、平和賞はその象徴となり得ます。過去にオバマ元大統領が受賞した際、トランプ氏は批判的なコメントを残していましたが、内心では自身もその栄誉を欲していると考えられます。
ウクライナ戦争の終結は、彼にとって政治的勝利と個人的名誉を同時に手に入れるチャンスと言えるでしょう。
対中国戦略におけるロシアの役割

二つ目の理由は、対中国戦略におけるロシアの役割です。
近年、中国とロシアは経済的・軍事的な協力関係を深めており、アメリカにとっては両国の「蜜月関係」が脅威となっています。特に、中国の台頭はアメリカのグローバルな影響力を揺るがしかねない状況です。トランプ大統領は在任中から中国に対して強硬な姿勢を取っており、貿易戦争や技術規制を通じてその勢いを抑えようとしてきました。しかし、中国単独で対抗するよりも、ロシアを味方に引き込むことで、より効果的な牽制が可能になると考えているようです。
ロシアと中国は一見、強固なパートナーシップを築いているように見えますが、歴史的には両国間に不信感や競争意識が存在します。
例えば、中央アジアの資源や影響力を巡る暗黙の対立、さらにはロシアが中国の経済的支配力を警戒する動きも見られます。トランプ氏はこの隙間を利用し、ロシアに経済的支援や制裁緩和を提案することで、プーチン大統領をアメリカ側に引き寄せたい狙いがあると思われます。
もしロシアが中国から距離を置くようになれば、アメリカはアジア太平洋地域での戦略的優位性も強化できます。これは、トランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト」の理念にも合致する動きです。
まとめ
トランプ大統領がロシアに接近する背景には、ウクライナ戦争を終結させてノーベル平和賞を狙う個人的な野心と、対中国戦略としてロシアと中国の関係を分断する地政学的な計算があります。
彼の外交手法は予測不能な部分も多いですが、その大胆さと実利主義がこれらの目標達成に向けた原動力となるでしょう。