日本企業とグローバルサウス

地政学リスクニュース 日本企業とグローバルサウス

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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最近、激化する米中対立や緊張が続く台湾情勢もあり、中国に進出する日本企業の間ではオフィスや工場などを日本へ戻し、調達先や製造先を第3国に移す動きが以前より広がっています。

調達先や製造先を第3国に移す動き

たとえば、昨年も大手自動車メーカーのマツダは地政学リスクを考慮し、新車の製造で使用する部品の対中依存度を下げていく方針を発表し、ホンダも国際的な部品のサプライチェーンを再編し、中国とその他地域のデカップリングを進めていくと発表しました。キャノンの御手洗会長も昨年、中国や台湾情勢に懸念を示し、国内回帰や第3国シフトの可能性を示唆しています。日本を代表する大企業からこういった動きが進むことにより、中小企業への影響も今後さらに出てくることでしょう。

注目を集めるグローバルサウスの存在

 一方、それに伴って注目を集めているのがグローバルサウスの存在です。グローバルサウスとは簡単に言えば途上国と同じ意味で使われ、アジアやアフリカ、中南米の途上国、新興国を指します。

岸田首相も3月、インドを訪問してモディ首相と会談し、グローバルサウスで主導的立場にあるインドとの関係強化に努め、グローバルサウス重視の姿勢をアピールしました。岸田首相は5月のG7広島サミットにもモディ首相を招待し、G7とグローバルサウスとの関係強化を狙っています。そして、GWにはエジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークを訪問する予定で、日本とグローバルサウス各国の2国間関係強化にも乗り出しています。

このように岸田首相がグローバルサウス重視の姿勢を鮮明にする背景には、今後世界では欧米や中国以上に、グローバルサウスの政治、経済的な影響力が高まることがあります。日本や欧米、中国では少子高齢化が進んでいますが、グローバルサウスの多くの国々では人口が今後増加し、それによって経済成長が見込まれます。国の人口の半分近くが子供というケースも少なくなく、若い労働力と市場がグローバルサウスには期待されており、先進国企業の間でも注目が集まっています。

まとめ

近年、米中対立など政治的リスクによって純粋な経済活動ができないと、不安を強める日本企業も多いでしょうが、グローバルサウスにはそういった大国間対立の心配はありません。

当然ながら、グローバルサウスにもテロやクーデター、環境や人権など多くの課題を抱えた国がありますが、インドネシアやマレーシア、タイ、モロッコ、モーリシャスなど、そういったリスクが比較的低い国も多くあります。

日本が国家としてグローバルサウス強化を打ち出す背景には、新たな経済フロンティアの開拓として、日本企業のグローバルサウスへの進出を活発化させたい狙いがあります。グローバルサウスも、日本企業など外資を積極的に受け入れる姿勢を示しており、今後は双方の関係がさらに強化されていくと思われます。

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