南アフリカのEコマースについて解説!人気のECサイト5つを比較

2020年のコロナ第1波が世界を襲った時、南アフリカは生活に必要な最低限のビジネスに従事するビジネス以外を全てシャットダウンする「National Lock Down」に入りました。

ほとんど全ての交通機関、服飾販売店、飲食店が営業停止になり、会社出勤も停止になりました。更に酒販売店、タバコ販売も禁止で、家の外でエクササイズをすることすら許されない日々が28日間続いたのです。ロックダウンが解除になったその後は、マスク着用、手指消毒、社会的距離の適用など「ニューノーマル」と呼ばれる新しい習慣が販売店で導入されました。

そういったコロナ感染対策を講じているにも関わらず、2020年の販売店売上は昨年比の3割減を記録しました。さらに、「販売店に足を運んで買い物をする」という人々の従来の消費パターンに変化が起こりました。商品販売ビジネスはいち早くこの流れを掴み、2020年に前年と比較してeコマース部門は66%の成長率を記録しました。

北澤 Nozi

南アフリカで急成長するeコマース市場の背景と、これからの成長についてレポートします。

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世界のeコマース市場を多角的に解析

南アフリカのeコマース市場。南アフリカの事を色々な角度から見ていかなければ、いまひとつ市場サイズについて掴みにくいのではないでしょうか。

eコマース普及状況を理解するために知っておくべき5つの要素をご紹介します。

要素1: 南アフリカのeコマース販売規模

eコマースが急成長したとは言え、世界の販売規模と比較すると市場規模はまだまだ小さいことが見えてきます。

■ 世界のeコマース販売上位10位と南アフリカ

Top 10 Countries, Ranked by Retail Ecommerce Sales, 2020 & 2021 (billions and % change) | Insider Intelligence (emarketer.com) より引用

要素2: スマホ普及率

2021年、南アフリカのスマートフォン普及率は92.8%を記録しました。国民のほとんどが携帯でインターネットを利用することができるということになります。
SA’s smartphone penetration surpasses 90% | ITWeb

要素3: eコマースでの販売割合

南アフリカの、eコマースにおける販売割合は全体の2%です。これは、世界平均の14%を大幅に下回っています。
Millions in SA should start shopping online soon – if data costs, deliveries are sorted out | Businessinsider
E-Commerce in South Africa: The Growth, and the Future – GeoPoll

要素4: オンラインショッピングのカード利用率

クレジットカード決済の14%がオンラインショッピングに利用されています。これは、宿泊費や飛行機代などの旅行の決済の11%よりも高くなっています。

要素5: オンライン販売利用者と割合

E-Commerce in South Africa: The Growth, and the Futureによると、7割の南アフリカ人が月に1回はオンラインで買い物をしています。
E-Commerce in South Africa: The Growth, and the Future – GeoPoll

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実店舗でのショッピングの傾向

日本で言う所のAEONのような小売店が集合した場所、またはデパートの事を、南アフリカではショッピングモール、モールと呼びます。

モールにはフランチャイズ・レストラン、スーパーマーケット、衣料販売店などが場所を借りて営業しています。

大型ストアと言うと日本ではコストコやドン・キホーテが人気ですが、南アフリカも同様、家電や文具、生活用品を安売りするMacroGameの利用者が増えています。

北澤 Nozi

こういった大型ストアのeコマース介入はロックダウン以前からありましたが、利用者は限られていたようです。

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南アフリカのeコマーストップ5ランキング

南アフリカにおける、2021年の売上高上位5位のeコマースサイトを見てみましょう。

第1位を独占したのはTakealot、Amazonの南アフリカ版とも言えるオンライン小売業者です。2011年に創立されたこの会社は南アフリカのeコマース市場の先駆け的存在となりました。

南アフリカeコマース:傾向と市場サイズ

第1位:Takealot.com

180万人の利用者を持つTakealot.comは、ITソリューション会社であるMWEBのCEOがアメリカの会社から投資を受けて創立されました。国内に4つある配送センターからは、1時間あたり1万個の箱が出荷されています。配送センターがあるのは西ケープ州、クワズルナタル州、ハウテン州で、センターの総面積は7.5ヘクタール。取り扱う商品は約400万種類です。

Takealotは独自のロジスティクスを確立し、アクセスの難しいタウンシップ(元黒人居住区、エリアがA-Zのアルファベットで区分されておりアドレスがないため配送が困難なエリア)にもサービスを展開しています。その上、個人が商品を回収し、返品もできるピックアップポイントを設けています。ピックアップポイントは国内全9州、50箇所に設置されています。

Takealot’s new pickup point comes with robot helpers | Ecommerce.co.za
Inside Takealot’s upgraded warehouse and distribution centre 

第2位: Superbalist.com

SuperbalistはTakealotの姉妹会社で、国内外のブランド服飾品を販売するサイトです。2018年、ファッションのeコマースサイトとしては国内の2トップであったSpree.co.zaとSuperbalistが合併し、競合他社に差をつけました。商品はクラシック、ハイファッション、ストリートファッションの他に大きいサイズがあり、フットウェアも充実しています。

SuperbalistのCEOによると、このサイトの強みの一つは多様な支払い方法にあるということです。
商品が配達された時に支払いをするcash-on-deliveryや、クレジットカードがなくても支払いができるなど、あらゆる環境の利用者に対応する配慮がされています。また、注文をした時にピックアップの場所を指定するサービスがあるのも強みです。

Takealot.com acquires Superbalist (businesstech.co.za)
Spree, Superbalist merger to create online retail giant | ITWeb

第3位: Woolworth.com

Woolworth (ウールワース、俗名・ウーリーズ)は創業1931年、ケープタウンのRoyal Hotelの一角に服飾店としてオープンしたのが始まりです。

現在は全国に1051件の店舗を構え、2021年の総売上額は53.3億ドルという大型フランチャイズです。オーストラリアの同名の大型スーパーマーケットとは関連ありません。

Woolworthの商品は、服飾全般、コスメ、食品、生活雑貨、生活用品などがあります。どの分類の商品も、根強い人気の理由は品質の高さにあります。サスティナビリティに関する意識も高く、富裕層に愛される条件が揃っています。

同社によると、SNSの合計フォロワー数は350万人で、南アフリカの小売業者の中では最大だということです。そこで同社が今注目しているのがソーシャル・コマース。利用者がFacebook、Instagram、TikTokなどのSNSサイトから物品を購入することのできるサービスはeコマースの3倍の速さで成長することを見込んでいます。

List Of Woolworths Stores In South Africa – 2022/2023 (safacts.co.za)
Woolies shoppers can now buy via Instagram, TikTok | Ecommerce.co.za

第4位: Mrp.com 

Mrp (Mr.Price、ミスタープライスとして知られる)ブランドは1987年に服飾全般を販売するアパレル企業として始まりました。ブ

ランドは現在はスポーツ用品店であるMr.Price Sports、生活雑貨であるMr.Price Homeがあり、総店舗数は1165店です。Mr Price Groupの前年の売上利益はこれまでの最高である24.9億ドルを記録しました。

eコマースの成長率は48.8%で、総売り上げの2.9%に当たります。Mrpよりも上の年齢層を狙ったアパレルのMidladysや、より安価な生活雑貨を扱うSheetStreetなども同グループの傘下にあります。

注目なのは2017年に開始されたMRP Mobile、テレコミュニケーションのサービスです。国内でMr Price Cellularを扱う店舗は374店。2021年の売上高は前年比34.4%増加の7.4千ドルでした。現状、ネットワークはCell Cと提携していますが、Mr. Price グループのMVNO (Mobile Virtual Network Operator) への参加には注目が集まっています。

Mr Price says there are opportunities in South Africa’s tough times (businesstech.co.za)
Mr Price’s telecoms segment rakes in R1.2bn | ITWeb
Buy MR PRICE Shares – ☑️View Live Share Price, Latest Earnings (2022) (sashares.co.za)

第5位: Amazon.com 

アメリカ資本の会社でありながら南アフリカでのeコマース販売で第5位となったのはAmazon.com。Amazonの南アフリカ進出は、最初の開発センターがケープタウンに開設された2004年に始まりました。

当初は仮想プライベートサーバーとして機能するElastic Compute Cloud(EC2)サービスの改良に焦点を当てていましたが、eコマース事業に火が付き、人々がアメリカから商品を輸入するようになるまで長くはかかりませんでした。

サイトの全ての商品が購入できるわけではありませんが、購入できた場合はアメリカから商品が届くまでのリードタイムは最短1週間とされています。信用度の高いDHLやAramexなどのプライベート輸送会社を利用するため、送料は最低25ドルと高額です。さ

らに消費者は商品の価格に比例した税金を支払います。しかし近年、Amazonはケープタウンに南アフリカの本部を設立するために約2.5億ドルの投資をする意向を発表しました。経済の発展と雇用の促進に期待が高まる一方で、環境保護と地元企業の生存を懸念する声が聞こえています。

Is South Africa ready for the Amazon effect? (iol.co.za)
How To Buy From Amazon In South Africa (Detailed Guide) | Online Business Guide ZA

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食品部門のeコマースの成長

部門ごとに比較すると最も成長が大きいのは食品部門です。

スーパーマーケットCheckersでは注文から60分以内に配達するサービス「Checkers Sixty60」を始めました。2021年の売上高が前年比の20億円増加となったのは、この配達アプリによるものと発表しています。

このサービスは2022年現在、全国266店舗で展開されています。更に食事のデリバリーサービスもコロナを機に爆発的に成長し、都市部ではUber EatsやMr.Delivery (Takealotの傘下)のデリバリーバイクが目立ちます。

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南アフリカのeコマースまとめ

以上、南アフリカのeコマース市場についての現状が掴めたでしょうか?オンラインで商品を購入する事に対する人々の抵抗が少なくなった今、この先どのように発展して行くのか、期待が高まります。

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北澤Noziセカビズライター
通年20年の海外経験があり、南アフリカと日本を行き来する生活を送っています。市場調査員として南アフリカの企業と関わり、フィールドワークの中で見えてきた「今、南アフリカで起こっていること」を日本の方と共有する記事を書きます。興味のあることは人権、環境、ビジネス、社会問題、サブカルチャーなどのジャーナリズム。趣味は料理とキャンプです。