エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。
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近年、インドはポスト中国の筆頭候補として、日本企業にとって欠かせない投資先となっています。膨大な人口を背景とした巨大な国内市場や、若く優秀なIT人材の集積、そして政府による製造業振興策「メイク・イン・インディア」などは、多くの日本企業を惹きつけてやみません。
しかし、この急速な経済発展と国際的な存在感の高まりの一方で、インドが抱え続けている深刻な課題が治安、特にテロのリスクです。インドは地理的に複雑な近隣情勢を抱えているだけでなく、国内にも多様な宗教・民族的問題を内包しており、主要都市や象徴的な建造物が標的となる事案が後を絶ちません。
ニューデリーで発生した凄惨なテロ事件

このようなリスクを改めて世界に知らしめたのが、昨年2025年11月10日に首都ニューデリーで発生した凄惨なテロ事件でした。夕刻のラッシュ時、世界遺産である「赤い城(レッド・フォート)」に近い地下鉄駅付近の路上で、爆発物を積んだ車両が爆発しました。
この事件では、実行犯を含む10名以上の尊い命が奪われ、数十人が負傷するという極めて深刻な被害が出ました。当局の捜査により、高度な専門知識を持つ個人が組織的に関与した「ホワイトカラー・テロリズム」の側面が浮き彫りとなり、これまでの過激派のイメージを覆す手口が日本企業を含む外資系組織に大きな衝撃を与えました。
求められる高度な安全管理体制
インドへ進出する日本企業にとって、こうしたテロ事案は決して他人事ではありません。インド各地には多くの日系工場やオフィスが点在し、多数の日本人が駐在員や出張者として滞在しています。テロは予測が困難なものですが、企業には社員の生命を守るための高度な安全管理体制が求められています。具体的には、外務省や現地当局が発出する治安情報をリアルタイムで収集し、社内で迅速に共有する体制の構築が不可欠です。
また、デパートや市場、公共交通機関といった「ソフトターゲット」と呼ばれる不特定多数が集まる場所への立ち入りを制限するガイドラインの策定や、緊急時の安否確認システムの整備、さらには現地スタッフを含めた避難訓練の実施など、ソフトとハードの両面からの対策が急務となっています。
まとめ
インド市場の魅力は今後も揺らぐことはありませんが、進出企業はその果実を手にするための代償として、常にリスクと隣り合わせであるという認識を強く持つべきです。テロのリスクを完全にゼロにすることは不可能ですが、平時からの備えと「自分たちの身は自分たちで守る」という危機意識の徹底こそが、不測の事態において被害を最小限に抑える唯一の手段となります。
インドでのビジネスを成功させるためには、経済的な戦略と同等の重みを持って、治安リスクへの処方箋を経営課題に組み込むことが求められています。











