台湾有事によって朝鮮有事が発生するリスクが高まるワケとは

台湾有事によって朝鮮有事が発生するリスクが高まるワケとは

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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近年、台湾海峡を巡る緊張が高まる中、台湾有事が発生した場合、その影響が朝鮮半島に波及し、さらなる軍事危機を引き起こす可能性が指摘されています。特に、台湾有事が在日米軍や在韓米軍を巻き込み、朝鮮半島に軍事的空白を生み出すことで、北朝鮮がこれを機に軍事行動を起こすリスクが高まると考えられています。

この記事では、なぜ台湾有事が朝鮮有事の引き金となり得る可能性があるのか、その背景とメカニズムを詳しく解説します。

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台湾有事と米軍の関与

台湾有事が発生した場合、米国は台湾防衛に関与する可能性が高いです。米国は「台湾関係法」に基づき、台湾の防衛能力を支援する義務を負っており、軍事的な支援を行うことが想定されます。この際、日本や韓国に駐留する米軍が動員される可能性があります。在日米軍は、横須賀の第七艦隊や沖縄の海兵隊など、アジア太平洋地域における米国の軍事戦略の要です。また、在韓米軍も朝鮮半島の防衛だけでなく、地域全体の安定を支える役割を担っています。

しかし、台湾有事に米軍が集中した場合、これらの部隊の多くが台湾海峡周辺に展開することになり、朝鮮半島の監視や抑止力が一時的に低下する可能性があります。特に、在韓米軍の主力部隊が台湾方面に移動すれば、朝鮮半島における軍事的空白が生じ、北朝鮮にとって軍事行動を起こす好機となる恐れがあります。 

北朝鮮の戦略とリスク

北朝鮮は、過去にも国際社会の注意が他地域に向いているタイミングで挑発行動を起こす傾向があります。例えば、2010年の延坪島砲撃事件や、核実験・ミサイル発射などの挑発は、国際社会が他の問題に気を取られている時期に実行されることが多かったのです。台湾有事が発生し、米国や国際社会の焦点が台湾海峡に集中すれば、北朝鮮はこれを絶好の機会と捉え、軍事的な挑発を行う可能性があります。


北朝鮮が狙う可能性がある行動としては、ミサイル発射、局地的な軍事衝突、または韓国との国境付近での挑発行為が考えられます。これにより、北朝鮮は自国の存在感をアピールし、米国や韓国に対する交渉力を高めようとするかもしれません。

しかし、こうした行動がエスカレートすれば、朝鮮半島全体での軍事衝突、すなわち「朝鮮有事」に発展するリスクがあります。

日本の役割と影響

日本もまた、台湾有事の影響を強く受ける国です。在日米軍基地は、台湾防衛のための重要な後方支援拠点となる可能性が高く、日本は間接的に有事に関与することになります。しかし、在日米軍が台湾方面に展開することで、日本の防衛力にも影響が出る可能性があります。特に、北朝鮮がこの機に乗じて日本海側でミサイル発射や海上での挑発を行えば、日本もまた直接的な脅威にさらされることになります。


さらに、日本は地理的に台湾と朝鮮半島の間に位置するため、両地域の有事が連鎖した場合、複雑な安全保障上の課題に直面します。日本の自衛隊は、米軍との連携を強化しつつ、独自の防衛体制を整える必要がありますが、リソースの限界から、両方の危機に同時に対応することは困難です。このため、台湾有事が朝鮮有事を誘発するシナリオは、日本にとっても重大な脅威となるのです。

国際社会の対応と課題

台湾有事が朝鮮有事を引き起こすリスクを軽減するためには、国際社会の協調的な対応が不可欠です。米国、日本、韓国は、台湾有事の際にも朝鮮半島の抑止力を維持するための事前準備を進める必要があります。例えば、米軍の部隊配置を柔軟に調整し、朝鮮半島に十分な戦力を維持する計画や、北朝鮮の動向を監視するインテリジェンスの強化が求められます。

また、中国やロシアの動向も注視する必要があります。台湾有事において、中国が積極的に関与する場合、北朝鮮が中国の支援を受けて挑発をエスカレートさせる可能性も否定できません。このような複雑な状況下では、日米韓の同盟関係だけでなく、国際連合や他のパートナー国との連携も重要となります。

まとめ

台湾有事が朝鮮有事を誘発するリスクは、在日米軍や在韓米軍の関与による軍事的空白と、北朝鮮の戦略的な挑発意図が背景にあります。この連鎖を防ぐためには、事前の準備と国際的な連携が不可欠です。

日本、米国、韓国は、台湾海峡と朝鮮半島の両方を見据えた安全保障戦略を構築し、北朝鮮の動向を牽制する必要があります。台湾有事が現実のものとなった場合、その影響は地域全体に及び、予期せぬ危機を引き起こす可能性があるため、慎重な対応が求められるのです。

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