中東情勢の緊迫と日本企業への影響

中東情勢の緊迫と日本企業への影響

エクスレバン
これまで渡航した国は40カ国以上 大学時代から国際経済を学び、現地に赴いて調査を行ったり、政治や経済について執筆活動を行っている。趣味はサーフィンと妻とショッピング。コロナ禍が終わりを迎えるなか、今後は中東やアフリカ方面への現地取材を検討中。

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2025年6月、中東情勢はイスラエルとイランをめぐる軍事衝突により一気に緊迫しました。イスラエルがイラン国内の核施設や軍事施設を標的に大規模な空爆を実施し、これに呼応する形でアメリカのトランプ政権もイランの核施設3カ所に対し、精密攻撃を行いました。この攻撃は、イランの核開発計画を数年遅らせたとされる一方、イラン側は報復の可能性を示唆し、国際社会に大きな不安を与えました。

しかし、トランプ大統領が6月23日にイスラエルとイランが「完全かつ全面的な停戦」で合意したとSNSで発表し、現在のところ両国間の軍事的な応酬は沈静化しつつあります。しかし、根本的な解決には程遠く、日本企業にとっては引き続き不安定な中東情勢が続くと考えられます。

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イスラエルとイランの対立の背景

イスラエルは長年、イランの核開発を最大の脅威とみなしてきました。イランがウラン濃縮を進め、核兵器製造の可能性を高めているとされる中、イスラエルは6月13日からイラン国内の核施設や軍事インフラへの攻撃を次々に行い、イラン国内に犠牲者数は600人を超えたとも言われます。一方、イランも報復としてイスラエルにミサイル攻撃を行い、双方の応酬により死傷者が増加しました。

トランプ政権は当初、イランへの直接攻撃は行わない姿勢を示してきましたが、6月21日にB-2ステルス爆撃機によるイランの核施設への攻撃を実施し、イランの核の脅威を阻止するという目的を掲げ、攻撃は成功したと発表しました。

しかし、イラン側は核開発を平和利用と主張し、ウラン濃縮の権利を放棄しない姿勢を明確にしています。

停戦合意とその不安定さ

トランプ大統領の仲介により、6月24日に停戦合意が発表され、両国は攻撃の停止に合意しました。しかし、合意直後にもイスラエルはイランからのミサイル攻撃を主張し、報復としてテヘランのレーダー施設を攻撃するなど、緊張が続きました。トランプ大統領は停戦成立後も攻撃を行ったイスラエルとイランに対して強い不満を示し、停戦の維持を求めましたが、イランの体制転換を視野に入れるイスラエルと核開発を続けるイランの対立は根深く、停戦が守られるかは疑わしい状況です。

イラン側は停戦後も核開発を進める構えを崩していません。イスラエルとアメリカは、イランの核兵器保有を認めない姿勢を堅持し、必要なら再び軍事行動に踏み切ると警告しています。

日本企業への影響

日本企業にとって、中東情勢の緊迫は深刻な懸念材料です。日本は原油の90%を中東からの輸入に依存しており、特にホルムズ海峡はエネルギー供給の生命線です。イランが報復としてこの海峡の封鎖をちらつかせた過去もあり、仮に封鎖が現実となれば、エネルギー価格の高騰は避けられません。

また、中東地域での事業展開にも不透明感が増しています。日本の建設やプラント企業は中東でのプロジェクトが多く、情勢の悪化は契約の遅延や中止リスクを高めます。現地での邦人安全確保も課題で、外務省はイランとイスラエルからの退避や渡航自粛を強く呼び掛けていますが、今後は周辺諸国への影響をこれまで以上に配慮する必要があります。

停戦が維持されてもイランの核開発問題が解決しない限り、中東情勢の潜在的リスクは続きます。

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