イタリアへ進出するメリットと注意点とは?
海外進出を行う前に知っておくべきポイントを解説

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イタリアと言えば、陽気な人々、カンツォーネ、ピッツァ、アモーレ、とすぐにイメージが湧いてきます。ヨーロッパの歴史と文化の発祥地であり、カトリック総本山であるバチカン帝国を抱える国イタリア。そんなイタリアでは最近、日本の人気が非常に高くなっています。今の働き盛りの世代は皆日本のアニメで育った世代であり、日本に憧れて日本語を習う若者も大勢います。新婚旅行先に日本を選ぶカップルもいるほどです。また日本人の道徳心の高さには定評があります。日本人というだけで、絶大な信頼感を得られるのです。イタリアでビジネスを展開されたいとお考えの方には、ぜひイタリアにはない日本独自の、日本という国の文化、伝統を売り込むビジネスを展開していただきたいです。

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イタリアでビジネスを行うメリット

文化や経済とともに先進国のイタリアですが、国内総生産(GDP)はユーロ圏では第4位、世界ランキングでは第8位の経済大国となっています。1866年8月25日に日伊修好通商条約を締結したイタリアと日本は、2016年に日伊国交150周年を迎え、伝統的に友好関係を保って来ています。イタリアの生産量はEUのGDPの11%を占め、生産体制の特性上他のヨーロッパ諸国と同様に、27.7%が製造・建設分野、約70%がサービス分野で構成されています。サービス分野においては、貿易、輸送、通信分野がヨーロッパ諸国のGDPの平均を上回っています。ですので日本の商品を売り込んでいくには、最適な環境にあると言えます。

  • 職人による伝統的な技術
  • スタートアップ支援
  • 日本企業の進出実績・日本食ブーム

職人による伝統的な技術

伝統手工芸をはじめとした職人文化が栄えているイタリアでは、デザイン性や機能性を重視した高付加価値な商品を生産することで、成長著しい中国やアジア諸国との差別化を図ってきました。コモのシルク産業、ムラノのガラス製品等各都市には各々特徴的な生産品があり、またワイン、チーズ等その土地でなければ生産できない厳しい規律も定められています。こうした土地の伝統を重視し、職人の技が今も生きているのがイタリアという国です。

スタートアップ支援

イタリアにおけるスタートアップ支援は、他のヨーロッパ主要国に比べるとまだまだ途上にあると言えますが、それだけにこれから展開していくビジネスが「イタリア初」の事例となることで、「早い者勝ち」的メリットがあるのではないかと感じられます。EU加盟国以外の国籍保有者がイタリアで会社を立ち上げる場合、イタリア式有限責任会社SRLを設立することが一般的なファーストステップとなりますが、スタートアップ企業として申告し承認を得ると、従来の有限責任会社とは違い、出資比率に依存しない特別な権利の付与や議決権の非付与、資本を利用しての取引資本参加を金融商品として活用可能(ストックオプションに類するものなど)、 出資の公募等フレシキブルな事業運営が可能となります。

日本企業の進出実績・近年の日本食ブーム

現在イタリアに進出している日本の企業は約80社で代表的な企業は、ダイキン、日本通運、東レ、日立製作所、三菱電機、三井物産等の企業が挙げられます。特筆すべきは近年のイタリアにおける日本食ブームに合わせて、ミラノやローマといった大都市に、日本人経営のラーメン屋、たこ焼き屋、和菓子屋等が開店し人気を集めていることです。また私の住む小さな町では、イタリア人経営ですがこけしやお線香等日本からの輸入品が売られているお店もあります。食に関してはとりわけ保守的であるイタリアにおいて、以前には考えられなかった現象です。

イタリアでビジネスを行う際に知っておくべき注意点

続いてイタリアでビジネスを行う際に、注意すべきポイントをご紹介します。

  • 各都市各々の歴史と文化が存在する
  • 労働者の権利ばかりが重んじられる悪循環
  • 身だしなみへの意識の高さ

各都市各々の歴史と文化が存在する

日本の友達によく「イタリアの生活ってどう?」とか「いちばん好きなイタリア料理は?」とか聞かれるのですが、実は返答に窮します。私が住む町についての生活、郷土料理、人々の大体の性格についてはいくらでも答えられるのですが、「イタリア全体」の話をすることは決してできないからです。つまりそれぐらい、イタリアでは地域によって人々の生活気質、習慣、伝統が異なるのです。

南北で気候が異なるイタリアでは、北部では乳製品、小麦や米、南部ではブドウやオリーブといったそれぞれの気候に適した作物を栽培しており、それらを加工した食品がイタリアの代表的な料理を形成しています。例えば北では乳製品であるバターが多く用いられ、南ではオリーブ油が使われていたりします。

南と北では大きな経済格差があり、一人当たりのGDPは南は北の55%ほどで失業率は約4倍で、南から北に出稼ぎをする人は後を絶ちません

労働者の権利ばかりが重んじられる悪循環

イタリアでは、2014年に過去最高の失業率12.7%を記録、若者の失業率が高く優秀な人材の流出が深刻化していると言われています。確かに私の周りでも、優秀な成績で大学を卒業しても就職先が見つからず、その結果コールセンター等の自分の学歴とは全く無関係の低賃金労働に甘んじたり、あるいは博士課程や専門コースに進んで学業を深める、といった選択肢を迫られている若者が多数います。そんなイタリアに嫌気がさして、スイスやオランダ、ベルギー、といった他国に就職先を求める若者もいます。

問題なのは、1999年にユーロが導入されて以来、物価は上昇するのに対して労働賃金は相変わらずリラの時代を引きずったままの低所得であることです。その上労組の力は非常に強く、優秀であろうがなかろうが一度雇用したらなかなか解雇できない状況にあり、雇用はされていてもあまり働かない労働者が居続ける結果、次世代の優秀な人材がいつまでも雇用されないという状況になってしまっています。

身だしなみへの意識の高さ

まず身だしなみに要注意です。イタリア人は磨かれた靴や高品質な服装に重きを置きます。そこに力を入れない人はイコール貧民階級、と判断してしまうからです。言葉については、イタリア語ができるに越したことはありませんが、それ以上に大切なことは自分の言いたいことを明確に相手に伝えられるということです。日本人特有の思いやりは、かえってイタリア人に混乱をきたします。遠回しな表現ではなくストレートにこちらの意思を伝えることが、ビジネスをスムーズに進めていくコツだと思います。

イタリア進出の準備と手順

イタリアへの事業進出における手順は以下の通りです。

  • インターネット調査
  • 現地調査
  • 専門家へのヒアリング
  • 公的機関の支援の活用

イタリア進出の準備と手順

インターネット調査

何をするのもインターネットを使っての事前調査は必須ですが、大事なことは、常に裏付けのできる信頼できる最新の情報を取得することです。特にイタリアの情報については、イタリアという国の持つ性格上、たとえ原語で書かれていても全てがその通りであるとも限りません。その点、日本人向けに書かれた日本語のサイトは、日本人を対象としているということで、信頼度が極めて高いと感じられます。

なおイタリアの法律は日々移り変わっているので、以上のサイトについてもあくまでも様子を知るための参考に留め、現状については各々のサイトの担当者に直接問い合わせるのが、正しい情報の捉え方であると思います。

現地調査

「一見は百聞にしかず」と言われているように、現地に行ってこそ理解できる情報が数々あります。
グループで行くパッケージ視察にしても、個人でアレンジする個人視察にしても「何を自分の目と耳で確かめたいか」という目的をしっかりと明確にして出発することが大切です。

専門家へのヒアリング

海外進出のための調査を進めていく上で欠かせないのが、現地に住む人の声を聞く調査です。とは言え、一個人ではなかなか多角的、網羅的に情報を収集することはできません。現地のリサーチを専門とするリサーチサービスを利用することで、より正確な対象国の市場状況が明らかになります。

サービスを依頼するにあたってまず「何のために調査をし、何を調査から得たいか」を明確にする必要があります。以下の参考サイトでは、具体的なリサーチサービスの利用の仕方がわかりやすく説明されています。

公的機関の支援の活用

日本の様々な公的機関が、日本人の海外進出のための情報提供を無料で行なっています。対象国の制度や規制を確認でき、何が必要書類であるかが分かり、またビジネスを展開するためのプロセスについてのアドバイスも受けられます。

イタリアへの事業海外進出まとめ

今回はイタリアでビジネスを展開するメリット、注意点、進出のための準備についてをお話しいたしました。起業にあたっての綿密な調査と準備はもちろん欠かせませんが、それ以上にイタリアについての特質をよく理解し、個人個人の繋がりを大切にすることが必要だと思います。ぜひ日本人の徳の高さとイタリア人の情愛深さをマッチさせて、円滑にビジネスを進めていってください。

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