調査会社が語る!現地視察で手ごたえのある情報を持ち帰るコツ

現地視察に行くからには、一般的な話を聞いたり、国の雰囲気を感じたりするだけではなく、自社製品やサービスのターゲットを明確化、価格設定、マーケティング方法などの手ごたえのある情報を持ち帰りたいものです。限られた費用と時間の中で、効率よく現地視察をするには、どのような方法があるのでしょうか。現役の市場調査員の筆者が、タイプ別の現地視察の特徴、事前準備、調査の種類などについてまとめました。パートナー会社や市場調査会社を雇わずに視察をする場合に役立つ情報も記載しています。

もくじ

海外展開を考える際の情報収集方法はどんなものがある?

情報収集の方法は大きく分けて、ネットリサーチ現地視察市場調査会社への相談、の3
つの方法があります。今回は、現地視察のポイントについてご紹介致します。

3タイプの現地視察、メリットとデメリット

現地視察の方法には、パッケージ視察、個人視察、アレンジ視察の3つが考えられます。

パッケージ視察は旅行会社のパック旅行と似ており、あらかじめ日程が組まれたツアーに参加します。国の様子、業界が短期間で見られるように組まれた内容で、政府の要人などに会う機会もあるので、日程の合うツアーがあれば、アポを取るなどの準備をせずに短期間で現地視察をできるメリットがあります。安全性と効率が良く、他の参加企業との交流ができることも利点です。

ジェトロではこのパッケージ視察を「ミッション」と呼び、様々なテーマのミッションが各地で開催されています(ジェトロ海外現地視察|ミッション)。ジェトロのミッションは、航空券代、宿泊費、食費などは自己負担ですが、現地でのバスでの移動費などのツアーにかかる料金をジェトロが負担する場合が殆どです(※詳細は各ミッションをご参照ください)。

HIS西部トラベル近畿日本ツーリストなどの旅行会社が、法人向けの海外視察プランを提案しています。HISでは見本市の案内や、見本市の出店代行などのサービスがあります。

個人視察は、自社の製品やサービスに特化した項目を自由に設定できるところにあります。宿泊先なども自分で決めるので、予算を調整しやすいのも利点です。しかし、視察先を訪問するための交通手段の確保、視察先とのアポ取りなどを全て自社で行うため、準備に手間と時間がかかります。しかし、このように手間をかけて視察先を絞り、交通手段などの調べることから、現地の生活を疑似体験し始めるという他にはない利点があります

アレンジ視察は、現地視察のアレンジを専門家に頼み、テイラーメイドの現地視察計画に基づいて現地案内もしてもらうタイプの視察です。費用はかかりますが、個人視察の手間と時間を省けることが最大のメリットです。

Digima~出島~は、海外に関わるあらゆる情報を提供する海外進出支援プラットフォームです。この記事を読む皆様もご参考にされている方が多いのではないでしょうか。Digimaでもアレンジ視察サービスを提供しており、全世界130国以上の国に対応できるそうです。

Biz旅は海外視察の専門家です。全てオーダーメイドで計画を作り、企業アポ取り、企業誘致、通訳などを含めた一元化サービスを提供します。視察レポートから参照できます。

パッケージ視察では自由がないため、自社の目的のための視察に使うというよりは、全体像を掴むために参加するという方が多そうです。しかし、個人視察とアレンジ視察では、目的を持って情報を集めに行くため、しっかりとてごたえを掴み、情報を自社に持ち帰りたい所です。その「手ごたえ」を掴むためのポイントを見てみましょう。ポイントは、新製品・サービスの販売、または販路拡大の場合、生産拠点の新設の場合の2つに分けられています。

現地視察のポイント(新製品、サービスの販売と販路拡大の場合)

この場合の現地視察では、自社の商品やサービスのニーズ、適正価格、マーケティングの方法、そして競合社やパートナー会社の目安をつける、といった所が大まかな使命となります。この際に手ごたえのある情報を収集し、日本に帰ってチームに報告をし、意識共有をするためのキーポイント3つをまとめました。

① パートナー会社・関連サービス業者から味方を作る、生の声を聞く 

自社のサービスによって利益を期待できる、または共同で新しい企画などをすることができる会社やサービスがあると、上記の調査に協力してもらえる可能性もありますし、関連業者の生の声を聞くことができます。出発の前によく調査してそういった会社に連絡を取り、段取りを進めて準備をしておきましょう。

Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSサイトで関連するハッシュタグを検索する、アニメに近いコンテンツを調べるなど、一般的な検索方法で十分な結果が得られます。検索エンジンで、ビジネスのウェブサイトを見つける方法もあります。

事前にアポイントメントを取り、現地視察の計画と内容、協力してもらいたい事項も思い切って事前に伝えましょう。Eメールのやり取りだけでなく、オンラインミーティングなどで一度顔を合わせて挨拶することで信頼度も高まり安心して訪問することができるのでお勧めです。

関連するサービスであれば、インタビューをするだけでも関係者の貴重な意見を聞くことができるでしょう。アレンジ視察をする場合でも、任せきりにせずに自社でこういった情報を集め、アポを取る所を依頼する方法もあります。

北澤Nozi

協力していただけるか、有料であれば協力していただけるか、協力は無理か、という3段階の聞き方をするのが効果的です。こちらの希望や展望をダイレクトにさらけ出し、もし賛同してくれるなら協力して欲しい、とコミュニケーションを取ると話が早く進みます。

② データは定量化して評価、レポート・比較に役立てる

「〇〇はどれくらい流行っているか」、「XXの認知度はどうか」などの情報は、現地で実際に対象となる層と触れ合うことで手ごたえのある感触が掴めるものです。これは、国の統計などを見ても当然わかりませんし、日本大使館やジェトロに聞いても調査結果は見つからないでしょう。

現地を視察して調査する場合、これを感覚的でなく定量的に表せる判断基準が重要となります。定量的なデータがあれば、視察に実際に行っていない社内のチームや投資家と共通意識を持つことができます。他国と比較する際にも、定量的なデータを元に比較することが必要になります。「流行っている」などの概念をどう定義するのかを深堀して考えておくと良いでしょう。

例えば、ショップなどでアニメ広告、本、グッズなどの商品を見つけ、流行度を見極める方法もあります。準備段階で「アニメグッズがおいてあるだろう」と思われる店舗を特定しておき、勝ち星をつけて確率を出すと、定量的な見方をすることができます。

北澤Nozi

実際に現地に行って、計画していた評価基準が使えないと判断をすることもあるかもしれません。その場合には、現地の状況に合ったやり方に変更して評価基準を作る必要があります。出発前に評価基準を考えておくメリットは「描いていたイメージ」と「現地の現実」の乖離に気が付くことです。「想像の市場像」がどれだけ正確に描けているかを確かめるのはセルフチェックとして有意義で、それを軸にして一度全体を見直すこともできるかと思います。

③ 適正価格の調査は、現地のものの値段を身体で掴む

現地の物資やサービスを「日本円でいくら」と換算するのではなく、「〇〇(現地通貨)あれば、これができる」という感覚を養いましょう。そうすることで現地の人がどういう感覚でお金を使っているのかが見えてくるはずです。レシートやメモなどを元に、日本に帰ってから正確に換算することができます。報告書や次回の出張予算の参考になるのでそれも重要ですが、現地でしかできないことは、その国の通貨と価値観に慣れることです。

北澤Nozi

南アフリカでは、都心部のデパートの駐車場代が1時間200円ほどです。日本だと、都心で1000円の所もあるので、これは破格の安さです。しかし、普段は住宅街のショッピングモールの駐車場で、100円でお釣りがくる事に慣れているので、200円でも「高い!!」とびっくりしてしまいます。逆に、単三乾電池4本には、700円ほども払うことが普通になっています。

生産拠点新設の場合の準備

生産拠点新設のための現地視察を考えている段階では、雇用や土地代、光熱費などの目安がわかり、運営にかかる経費が割り出せている状態ではないでしょうか。現地視察の段階では、リスク要素の割り出しと管理対策の方法を検討することが主要課題となります。

土地の視察はリスク管理の鍵

地域の安全性と風土について感覚を掴むことが必要です。地域によって特色は様々で、その特色と対処法の聞き込みの優先順位を高くして、リスク管理をしましょう。洪水や干ばつなどの環境的要素、水不足や計画停電などの資源についての調査も、現地だとヒアリングが容易にできます。

南アフリカの場合だと、地域の治安と警備体制に入念な計画が必要になります。工場の非稼働時間に強盗が入り製品や、パソコンやテレビ会議システムなどの機器を盗まれることがあるためです。外国人である日本人の駐在員が安全に通うことのできる場所であること、そうでなければ専属のドライバーを雇う、または警備の体制を強化するなどの対策を打つことができます。

雇用の視察は、スタッフの通勤手段と組合

大規模な製造業で雇用者が多い場合は特に、雇用者がどこから通うのか、またその交通手段を調査すると良いでしょう。それによって必要な駐車場のスペースや会社のバスの有無、交通費手当のなど、一歩前に進んだ構想を描くことができるでしょう。

雇用で必ず押さえておきたいのは、組合連合の風土と賃金の上昇率です。例えば、南アフリカでは3年に一回賃金交渉のストライキがあります。近年は落ち着いていますが、交渉が1か月以上にも続き、その間工場の生産が停止した年がありました。組合の数も多く、大きな組合の後に小さな組合がストライキを始めるため、ライン生産工場では全ての差ブライヤー業者の賃金交渉が終わるまで稼働できない状況になります。ネットリサーチもできますが、製造組合の幹部とのミーティングをこの段階ですることをお勧めします。

物流の視察で製造の全過程をイメージ

サプライヤーとなる業者の訪問も視察に入る場合があるのではないでしょうか。在庫の少ない主要な製品の供給業者から工場までの導線や交通量、リードタイムを調査しておくと外物流を含めた製造工程のイメージが掴めます。この結果によって、在庫を管理するための倉庫のサイズ感なども設定まで進めることができます。

海外からの部品を直接輸入する場合は、法規や必要書類などの確認が必要です。この分野に関しては行政機関で日本企業を支援するジェトロ(日本貿易振興機構)に前もって連絡をとり、現地の担当者に直接会って話を聞くことができるとベストです。

日本人駐在員や出張者のための情報

駐在員がいるのであれば駐在員の住む地域、賃貸の価格、日本人学校やインターナショナルスクールの場所、健康保険の制度、日本語または英語が話せる医師のいる病院や歯医者などを調べる必要があります。これだけの情報を集め、実際に住居、病院、学校などを訪問すると丸1日費やしてしまいそうですが、これは現地で確認する重要項目です。日本人の安全な生活と教育に関する情報は、日本大使館に相談すると良いでしょう。

各項目についてのヒアリングをするのは土地を紹介する不動産会社のエージェント、労働組合員、学校関係者など、ミーティングを設定できた人のどの人にでも個人的な見解として意見を聞いてみると良いです。近くのレストランなどの施設を訪れて、地元の人からのヒアリングもできると理想的です。

北澤Nozi

この情報収集で挙げたものは、ヒアリングの項目がたくさんありました。現地視察の担当者は、コミュニケーション能力の高い人が適任です。「海外に行く」=「TOEICの点数が高い人が適任」と判断される傾向が日本企業にはありますが、それよりも有志でやる気のある人、コミュニケーション能力の高い人を任命する方が遥かに効果的だと感じます。

現地視察のための時間と費用を節約する、裏技サイト

普通のデスクリサーチよりも一歩進んだ調査を、日本にいながらできる方法をご紹介します。

Survey Monkeyを利用して事前に現地のアンケートを取る。

使いやすいサイトで質問項目を作成した後は、100か国以上の中から回答者を購入することができます。指定できるのは国だけではなく、性別、年齢、年収などもあります。サイト運営はアメリカにあるため、アメリカで回答者として登録されている人数は多数。最高5000人の回答を獲得することができます。年齢や年収などの範囲が狭い場合には、回答数が未達になる場合もありますが、その場合は事前に告知があり、料金が請求されるのは回答者の数だけになります。

南アフリカとエジプトの回答を集めた経験がありますが、回答は驚くほど速く、2時間ほどで終了しました。回答の誠実性やフリー回答への真剣さにはバラつきがありましたが、クライアントの納得の行く回答を得ることができました。

現地の言葉に訳す翻訳者を見つけるのは、こんなに早くて簡単

通訳会社、派遣会社を通すことなく、フリーランスの翻訳者を見つけて発注から数時間で翻訳を入手することが可能です。国または言語を指定すると、翻訳者本人の顔写真、PR文章、これまでに担当した件数、顧客からのレートが表示されます。

Google翻訳の精度は日々上がっていますが、せっかくお金をかけてアンケートを作るのを翻訳するなら、翻訳者に依頼しようと考えて検索した所、早くて安価なサービスが得ることができました。

現地視察にアテンドする通訳をOCiETeで手配

OCiETeは、オンラインなら1時間から利用できる通訳サービスですが、視察旅行のアテンドも依頼することができます。ヒアリングやマーケティングには高い語学力が要求されるため、英語スキルが未達な方はもちろん、リスニングに自信のない方や、英語を話す時にあがってしまう、という方にもお勧めです。

ロコタビを利用して、現地に長く住む日本人から年期の入った情報を入手する。

日本大使館の外交官やジェトロの常駐員は情報に精通したその道のプロではありますが、派遣されて一定の期間その国で務めている方々です。もっと地元の生活に寄り添って、長期間その国に住む日本人から情報を入手する方法もあります。

ロコタビは、世界2667都市に住む日本人が登録している情報サイトで、無料で質問を投稿することができます。込み入った質問をする場合は、選択した国や都市住む登録者に直接連絡をして、1時間のビデオコールなどを設けて料金を支払い、情報収集をすることが可能になります。危険情報、流行トレンド、ECサイト、IT技術など最新の情報に応えてくれる人材を見つけられるでしょう。また、現地でのアテンドやバーチャルツアー、国内便の予約などの代行も依頼できる場合があります。

コロナ禍では視察の代用として利用された、バーチャルツアー

現地の販売店の訪問、現地サービスの利用を現地の人に依頼し、ビデオ通話でバーチャル体験をする方法がコロナ禍ではよく利用されました。現地の販売員に話を聞いたり、ディスプレイの様子を見たりして、時間と費用の大きな節約になったことから入国規制が緩和された今もサービスとして確立されてきています。

近隣を運転しながらビデオを設置することで地域の様子を見ることもでき、現地に住む人の話も聞くことができるので、多方面で役立つ情報収集をする方法として活用できます。

筆者のクライアントからは、電気事情に関するレポート、治安や生活に関する情報共有、南アフリカを体験できるバーチャルツアーの依頼を、個人、団体、企業などの様々な方からいただいています。

個人視察をされる方に!役立つまめ情報

僻地でも宿が見つかる、信頼のサイト

Booking.comは日本でも一般的な予約サイトですが、先進国だけではなくマラウィやザンビアなどの国の宿泊施設も充実しています。レビュー評価も見ることができるので、宿泊先の予約に便利です。

レンタカーを借りて自由に行動

レンタカーを予約する場合は、大手のAvisやEuropcarがあれば事前に予約しておくと安心です。人数や予定走行距離を予測し、到着した空港で受け取り、出発する空港で返却をすることが可能です。日本語に対応していないサイトでも、Googleのウェブサイトごと翻訳する機能などを使えば安心して予約をすることができます。

国内移動で気を付けたい事

国内線の予約は、実際にその国からでなければ予約できない場合、海外のクレジットカードを受け付けない場合があります。現地の人に代行を依頼するか、Expediaなどの総合予約サイトを利用して予約する、または現地の旅行会社に依頼する、などの方法を取らなくてはいけない場合もあります。ヨーロッパだと、電車やバスをネットで予約することができ、早めに予約することで大幅な割引があります。

携帯電話の利用は、現地のプリペイドがお勧め

国外では、SIMカードを購入して通話とデータをチャージする、プリペイド式の電話が気軽に使えるので、中期~長期滞在される方は、そちらの利用をお勧めします。日本国内でも、中国やアメリカなどのエリア限定のSIMから、Vodafoneなどのプロバイダーが提供する複数地域で利用できるものがAmazonなどで見つかります。現地では、大体はキオスクまたはコンビニのような店舗、町のコンビニのような場所で簡単に購入することができます。日本でもSIMフリーの携帯電話が買えるようになったので、そちらを利用することができます。

まとめ

皆さんの理想の現地視察の形は、見えてきたでしょうか?新天地では勝手がわからず不安になることもありますが、新しいものを見てワクワクすること、新しいアイデアが沸いてきてウズウズすることが一杯になると思います。皆さんの現地視察が海外進出への大きな一歩となるように願っております。

海外とのビジネスをスタートする前に

海外とのビジネスを開始する前に、下記のようなお悩みはないでしょうか?

  • 現地の情報を調査・リサーチしたい
  • 現地に住んでいる方へ自社の製品・サービスに対して意見を聞きたい
  • 海外クライアントとのやりとりは言語の壁が不安
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セカビズ編集部

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北澤Noziセカビズライター
通年20年の海外経験があり、南アフリカと日本を行き来する生活を送っています。市場調査員として南アフリカの企業と関わり、フィールドワークの中で見えてきた「今、南アフリカで起こっていること」を日本の方と共有する記事を書きます。興味のあることは人権、環境、ビジネス、社会問題、サブカルチャーなどのジャーナリズム。趣味は料理とキャンプです。